2009年6月30日火曜日

88.宇治陵、平等院から鵜飼

「アカシア紀行・俳句」2009年6月27日(土)

・宇治陵

 梅雨晴間の続く日、いつものメンバー6人で宇治吟行に行きました。
主な目的は宇治川の鵜飼見物ですが、11時前宇治に着いて時間があったので、
まずJR奈良線・木幡(こばた)駅の東一帯に点在する宇治陵に参拝しました。
宇治陵は主に藤原氏一族のお墓で、全部で1号墓から37号まであり、
平安時代の藤原道長や皇后のお墓もあるようです。
我々はそのうちの総遥拝所となっている1号墓を訪ねました。
場所は、木幡駅の南300メートル位にあり、府道7号線の近藤診療所の角の
信号を西へ50メートルほどです。
お墓は小さな木立に囲まれた直径10メートル位の円墳でそばに宮内庁の
衛士小屋があり、宮内庁と書いた軽自動車が止まっていました。
大きな檜や樫の木があり、ホオジロが鳴いていました。
小屋の西に石塔婆があり、藤原冬嗣・基経・時平・道長・頼通などの
名が廃寺となった菩提寺・浄妙寺の礎石に刻まれています。
石塔婆のそばには、スベリヒユが地面を這い、土ばったが跳ねていました。

道長のお墓は木幡幼稚園のそばの32号墓ということで、近くまで車で移動
しましたが、場所がわからずあきらめました。

         宇治陵に鳥の声聞く青葉風          常朝 

       (宇治陵1号墓:写真はすべてクリックで拡大)

       (藤原氏塋域(えいいき)の石塔婆)




・平等院

 その後、宇治に戻り、平等院の南の駐車場に車をとめ、観月で昼食後、
平等院にお参りしました。
平等院は関白藤原道長の別荘であったのをその子頼道が譲られて1052年
お寺に改めたとのことです。
10年以上かけた改修工事が昨年終って阿字池もきれいに整備されていました。
鳳翔館というミュージアムもできており驚きました。
偶然今日は13時から塔頭の浄土院前で法話があり、住職の神居文彰さんの
説法を聞くことができました。
平等院で初めてそれまでの中国的な仏教から日本的な仏教建築や仏教美術が
実現されたとの話は興味がわきました。

 その後、拝観料とは別に300円をおさめて、本堂である鳳凰(ほうおう)堂を
参拝しました。15分ごとに拝観者をグループ分けして案内されたので、
13時50分発のチケットをもらい、10分くらい阿字池の周囲の網代木
(あじろぎ)の道にあるヤマモモの実を拾ったり、藤棚で休憩したりしました。
鳳凰堂は10円玉に描かれているように鳳凰が翼を広げた形の左右の翼廊と
阿弥陀如来の中堂、西の尾廊脇殿でできています。
ガイドの方の話によると中堂の扉14面には死者を浄土に迎える、
阿弥陀来迎図が描かれており、上品から下品下生まで九品の来迎図が
あるようです。
浄土にも格差があるようなので少し抵抗がありますが。
戻りに鳳翔館を見学しましたが、雲中菩薩や復元来迎図などをまじかに
見ることができます。CGによる創建当時の鮮やかな色と模様を再現した
鳳凰堂の内部なども見ました。

         網代木の道に楊梅(やまもも)の実の赤し  常朝

        (平等院鳳凰堂と阿字の池)


・鵜飼

 その後、宇治茶の日の出園で小句会後、宇治川べりへ移動し、
鮎宗で早い夕食をとり、中州へ移動しました。
中州の鵜小屋には、若い女鵜匠が鵜を鵜籠にいれたり掃除をしたり
鵜の世話をしていました。
鵜匠は5年前からの沢木万理子さんと江崎洋子さんとのことなので、
多分沢木さんでしょう。
そばには家鴨が数羽いて植木の下に巣と卵がありました。

 鵜飼の船は7時に出るとのことで、6時すぎ船に載せてもらいました。
鵜飼の船は、篝火の籠を吊るした棹を立てていますが、
観客の船は屋形船で33人乗り、我々の船は今日の8艘のうちの
先頭でした。

 7時前に船頭さんがきてまだ少し明るい宇治川を上流まで移動して
川を見せてくれました。
船頭さんによると、中州の南側の流れは以前上流でせき止められて、
川底の苔がなくなり鮎が育たなくなったとのこと。
今までの政治で数十億円もかけてあちこち不要な河川工事をして、
自然を壊してしまったとのことです。

 川面が薄暗くなったころ、やや下流で鵜飼が始まりました。
篝火の火の粉の中を鵜が泳ぎ、美女の鵜匠が紐で
鵜をあやつる様子は絵のように幻想的です。

 鵜匠は6羽の鵜を6本の紐であやつり鮎を捕らえさせます。
鮎を飲みこんだ鵜を鵜匠が手繰り寄せ、左手でつかんで、
右手で鮎を吐き出させるたび拍手が沸きました。

 鵜船は一艘ですが、2列につながれている屋形船の真ん中の川をゆっくり
上流へ移動しながら鵜飼をします。
下流へ戻るたび篝火の薪を入れ、3度ほど往復して見せてくれました。
川面がすっかり暗くなった8時ころ、鵜飼は終り船を下りました。

 その後、奈良の旧ドリームランド前のファミリーレストランCOCOSで
小句会後解散しました。
土曜の夜10時頃でもお店は混んでいました。


         篝火の火の粉の中の鵜の勁し         常朝
  
         鵜飼果つ遠ざかりゆく篝火に         常朝

        (鵜小屋の鵜)

        (鵜舟と鵜匠)