2009年7月11日土曜日

89.奈良・奥田の蓮取り行事

「アカシア紀行・俳句」2009年7月7日(火)

 梅雨の曇りの日、いつものメンバー7人で奈良・大和高田市・奥田の
蓮池(弁天池)に行きました。
ここでは、毎年この日の、吉野金峰山寺・蔵王堂の蓮華会に供えられる、
蓮の花を摘み取り送る行事がおこなわれます。

 電車では、近鉄南大阪線・浮孔駅の南約2キロ、奥田公民館の北の神社です。
当日はJR高田駅、近鉄大和高田駅からバスが出ていました。

 奥田はその昔、役の行者(えんのぎょうじゃ)の母「刀良売(とらめ)」
が住まれた所です。
言い伝えによると、この池のほとりに庵があり、母が住んでいました。
ある朝、母 刀良売が池のほとりを散歩していると、蓮の茎が伸びて
美しい蓮の花が開きその上に金色の蛙が止まりました。
母が何気なしに岸の篠を一本抜いて蛙のほうへ投げると、
蛙の片目に当たり、たちまち花もしぼみ、蛙は水底へ潜ってしまいました。
母はこのことを気にやみやがて亡くなったが、役の行者は母と蛙のため
堂を建てるなどして供養されたとのこと。
このことから、池を捨篠池とも呼ぶそうです。

 10時前池に着くとすでに80~100人位の人々が池の周囲に行事の
開始を待っていました。
10時近くの芋畑から花火が上げられ、大和高田市長の挨拶などがあり、
40人くらいの行者が池の前のテント周囲に並び、ほら貝を吹いて、
法要が始まりました。
行者の呪文、般若心経などが上げられ、10時15頃、行者2人と
地元の人3人が乗った蓮取り舟が池に漕ぎ出され、蓮取りが始まりました。
蓮は60メートル四方位の池の半分にぎっしり植えられ花が多く開いて
いましたが、蓮は蕾のある茎のみを取っていました。

 蓮取りはじきに終り、舟が岸に戻るとちょうど雨が降り出し、
我々はテントで雨宿りをしました。
幼稚園児や小学生のグループも雨合羽を着ていました。
雨の上がった11時頃、行者の行列が近くの善教寺や行者堂と小蓮池のある
福田寺、刀良売のお墓に参拝後、12時から池畔の弁天神社で
護摩を焚かれました。
護摩の周囲で、心経、観音経などの読経、破魔矢の放射、
女行者の剣による九字などで供養は終り、行者一行は3つの桶に
入れられた108本の蓮を持って、13時頃バスで吉野へ出発しました。

 我々は12時半頃 お寺に参拝し、刀良売のお墓を遠望して、
橿原観光ホテルで昼食後、天理市の桃尾の滝に涼み、
奈良の喫茶店で小句会後6時すぎ解散しました。


         蓮取りの池に鳴きをり牛蛙        常朝

         法螺の音の波打つごとく蓮の池      常朝

       (蓮取り舟:写真はすべてクリックで拡大)

       (弁天神社奉額:右は蓮取り舟)

       (弁天神社:護摩の煙)

       (刀良売のお墓(中央))

       (桃尾の滝)