2009年10月24日土曜日

94.虚子記念文学館から弓削牧場

「アカシア紀行・俳句」2009年10月22日(木)

 うろこ雲のさわやかな日、いつものメンバー6人で芦屋市の虚子記念文学館から
神戸市北区の弓削牧場を訪ねました。

 10時文学館集合でしたが、阪神高速大阪港線(阿波座-法円坂)が工事中で、
環状線東側から神戸線へ入ることができず、一旦信濃橋で降りて、中之島西から
高速道に再入路したのですが、環状線の出口、入口に迷って30分もおくれました。

 文学館は阪神芦屋駅から南500メートルほど、芦屋川西岸から西へ60メートル
ほどにある瀟洒な2階の建物です。
入口の3台くらいの駐車場に車をとめ入館しました。
10月3日から来年5月9日まで「虚子の著作展」を開催中で、2階には高浜虚子の
俳句入門書、小説、夏目漱石の原稿、子規の仰臥漫録などのほか、
「小牡丹といふといへどの紅ほのか」などの有名な句の句軸も展示されています。
虚子の紫檀の文机、旅行かばんなどもありました。
句軸を見ていると蚊が一匹寄ってきました。
30分以上も見学して、近くの芦屋公園の鵺塚(ぬえづか)を見ました。
京で源頼政に退治された鵺の死骸が流れついた所だそうです。

        なほ光る虚子の文机薄紅葉      常朝

        秋の蚊や虚子の句軸を見上ぐれば   常朝

       (虚子記念文学館:写真はすべてクリックで拡大)
       (ぬえ塚)

       (ぬえ伝説)


 その後、上宮川町の神戸屋で昼食後、国道2号線を西へ、六甲道路から
花山台経由で有馬街道に入り、箕谷近くの芝床交差点から弓削牧場に行きました。
牧場は神戸電鉄・山の街駅の東2キロほどの山のふもとにありますが、
牧場の門は小倉台の住宅地に接しています。
駐車場から坂を上ると、右手に牛小屋があり乳牛が10頭くらいいて、
へちまの花が咲いて、大きな実が数個成っていました。
外の囲いには子牛が数頭寝そべっています。
牧場にはレストラン(チーズ、ケーキなど)があり、お客も数組ありました。
畑や土手にはローズマリーなどのハーブが植えられています。
土手上に見晴らし台がありましたが、木が生い茂って牧場しか見えませんでした。
しばらく散策して、レストランの庭のテーブルで小句会後、ケーキ・ミルクを
いただき、4時半頃現地解散しました。      

        牛小屋の窓の暗きにへちま咲く    常朝

        ハーブの名聞きて忘れて鱗雲     常朝

       (弓削牧場の牛舎)

       (牧場レストラン)

       (見晴らし台より牧場)

2009年10月9日金曜日

93.浄瑠璃寺、岩船寺から郡山城・月見

「アカシア紀行・俳句」2009年10月1日(木)

 中秋の名月の2日前の日、いつものメンバー7人で洛南・当尾の里(とうのの
さと)へ吟行しました。

 11時前、車で浄瑠璃寺の駐車場につきました。
我々は奈良から来たので、美加の原ゴルフ場の南の府道44号線を北上し
右・浄瑠璃寺の案内に沿って南下しましたが、
JR関西線・加茂駅あるいはJR/近鉄・奈良駅からバスも60分あるいは40分おき
くらいであるようです。

 浄瑠璃寺の参道には、萩やコスモスが揺れ、無人販売の吊り店もあり、
柿やとうがらしなどの野菜を売っていました。
境内にある大きな宝池の西側(彼岸)にある国宝の阿弥陀堂に九体の
国宝・阿弥陀如来を安置しているので九体寺ともいわれます。
池の東側(此岸)には三重塔(国宝)があり薬師如来を祀っているようですが、
アライグマに傷つけられので修復中とのこと。

 まず入山料300円を納めて阿弥陀堂に入って九体仏を参拝し、
堂内を見学しました。
大きな金色の阿弥陀仏が9体ならんで静かな中にも圧倒されます。
たまたま今日から開扉されたふくよかなお顔の秘仏吉祥天も拝見できました。
お供えの中に、円筒形の絵仏具というのがありました。
のち、三重塔の下に歩きましたが、池の周囲に薄などの秋草が咲き乱れて
あたかも浄土のようです。

        九体寺の格子より見ゆ秋桜      常朝

        浄瑠璃寺の池に映して吾亦紅     常朝

       (吊り店:写真はすべてクリックで拡大)
       (浄瑠璃寺)

       (三重塔)


 山門を出て左手の山すそに蕎麦の「吉祥庵」があったので、昼食に新そばを
いただきました。
その後、周囲の当尾の里を散策し、藪中三尊石仏、首切り地蔵などをお参り
しました。 集落や畑の小道には熟柿が沢山落ちていました。

        熟柿落つ首切地蔵見ておれば     常朝

       (当尾の里・蕎麦の吉祥庵)

       (当尾の里・首切地蔵)


 その後、車で5キロほどの岩船寺に行きました。
同じく阿弥陀堂のある真言律宗の寺ですが、こちらのほうが
奈良時代に建てられたので、平安時代の浄瑠璃寺より古いようです。
重要文化財の阿弥陀如来坐像、四天王、普賢菩薩などが安置されています。
山門の前には石風呂が置かれています。
石段を登り山門から入ると境内には阿の字池、三重塔、十三重石塔などが
あります。高い木々に囲まれ、浄瑠璃寺よりさらに山寺の雰囲気が強いです。
阿の字池を見ていたら、小さな蛇が中の島から泳ぎ出し、
池岸に着いて草むらに消えました。
三重塔の軒のそれぞれの隅には天邪鬼が白い目を見せて軒を支えています。

        石風呂の底にも紅葉岩船寺      常朝

       (岩船寺)


 のち、奈良・黒髪山のレストラン「cocos」で小句会後、月見のために
大和郡山市に移動しました。
郡山城近くの「弁慶」で夕食後、東側の追手門からお城に入りました。
去年同様、我々のほかは誰もいませんでした。
城跡の芝生にシートを敷いて、お茶会を始めた頃はまだ月は雲に隠れていました
が、お菓子をいただく頃に、やっと雲間から月が顔を見せてくれました。
満月の二日前の月で、雲の右手には木星が輝いていました。
虫の声を聞きながら出たり隠れたりする月を見て秋の夜を過ごし、追手門前で
解散しました。
俳句はもうひとつでしたが、盛り沢山の楽しい日でした。


        城跡の芝の湿りに月を待つ       常朝

        木星と雲をへだてて小望月       常朝