2010年6月26日土曜日

105.奈良・室生寺から龍穴神社

「アカシア紀行・俳句」2010年6月24日(木)


 梅雨晴れ間のさわやかな日、いつものメンバー6人で奈良・近鉄大阪線榛原駅
の東10キロほどにある宇陀市室生区の室生寺から龍穴神社に吟行しました。
室生寺は天武天皇9年役の行者によって創建された寺で、女人高野とも
いわれています。
我々は名阪国道針インターチェンジから約13キロ、車で南東へ28号線を走り、
10時頃着きました。
橋本屋旅館隣の駐車場に駐車して、朱塗りの太鼓橋に登ると、岩燕が数羽
川面を飛び、河鹿の声が聞こえました。
杉並木の参道から入山料600円で境内に入ると、仁王門先にばん字池があり、
池に垂れる木の枝にモリアオガエルの卵塊が数個ぶらさがっており、
池面にイモリが一匹泳いでいます。
しばらく青葉の池に立っていると三光鳥の「日月星」の声が聞こえました。
そして弥勒堂、金堂、本堂にお参りし、五重塔を見上げました。
1998年の台風7号で大破損した五重塔は屋根を修復し、見事に美しく再建され
ています。

        瀬の音に心鎮めて河鹿聞く      常朝

        御堂みな若葉を浴びて谷の音     常朝

       (室生寺:クリックで拡大:以下すべて)

       (モリアオガエルの卵塊)

       (室生寺の五重塔)


 のち、室生口大野駅の東1キロほどの国道165号線と室生道路の交差点にある
和風レストラン「志まず」で昼食をいただき、再び室生寺東500メートルの
龍穴神社を訪ねました。

 ここは去年2009年8月末に訪ねましたが、奈良時代以前からの古い神社で、
高おかみ(雲かんむりの下に龍)の神、天児屋根命(あめのこやねのみこと)
など5神を祀っています。
巨大な二俣の杉や連理の杉を見上げ、しばらく静かな境内を散策後、
去年行かなかった「龍穴」を訪ねました。
龍穴は神社後方1.5キロ位の岩壁ある洞穴ですが、滝もあります。
28号線で神社の東500メートルほどで左折して、林道を800メートルほど
登ると、「吉祥竜穴」の案内板がありました。
そこから100段ほどの階段をおりると、滝の祈祷小屋があり、スリッパが
置かれています。
そこから龍の棚という大きな岩盤をすべる白い流れが見え、
岩盤の上と下は低い滝になっています。
水は冷たそうですが流れまで近づくことは危険なのででできません。
上の道には湧水が流れ、崖岩から清水が滴っていました。

        龍穴の注連に青苔梅雨晴れ間     常朝

        湧水の流るる道に滴れり       常朝

       (龍穴神社の二又杉)

       (龍穴の案内図)

       (龍穴の滝)

       (龍穴)


 その後、近くの枝垂れ桜の西光寺を訪ねました。
ここは、室生寺を見下ろす山の上にあり、橋本屋旅館の東100メートルほどを、
南へ登り、松平文華館の前を通って、600メートルほど登った
山の中腹にある小さな無住寺です。
トタン屋根の本堂に、「城の山桜」と名付けられた、
樹齢300年支柱6本の枝垂れ桜が青葉を掛けていました。
堂縁に坐っていると、ホトトギスが聞こえ、黒アゲハが飛んできました。

        山寺のトタンの屋根に黒揚羽     常朝

       (西光寺の枝垂れ桜)



 のち、針インターチェンジのレストラン「メルカト・ロッソ」で
小句会後5時半すぎ解散しました。

2010年6月8日火曜日

104.大仏鉄道跡から恭仁京跡

「アカシア紀行・俳句」2010年6月6日(日)


 晴天で風の涼しい芒種(6月6日)の日、いつものメンバーで
奈良市の北、木津川市の大仏鉄道跡や牧場、恭仁京跡に吟行しました。
まず9時半すぎ、大仏鉄道跡の鹿川トンネルを訪ねました。
大仏鉄道は明治30年頃から40年まで加茂駅から奈良の大仏駅をつないだ
鉄道ですが、軌道は道路などに変わり、軌道下のトンネルなどがいくつか
残っています。
鹿川トンネルは奈良の鴻池運動公園からの道(44号線)と奈良坂からの
道(754号線)との交差点(梅谷口)から西の田園へ降りた道にある川の
トンネルで44号線の下をくぐっています。
付近の田や畑で田植え準備などで人々が働いていました。
トンネルは頑丈なレンガ造りで、覗くと先に青葉が光っており、
崖には木苺の実がありスイカズラの花が咲いていました。


        隧道の先に輝く青葉かな      常朝

       (鹿川トンネル:クリックで拡大:以下すべて)


 鹿川トンネル付近の畑の農夫の方からこれから奈良豆比古(ならずひこ)神社の
菖蒲祭に行くと聞いたので、我々も予定を一部変更して、神社に参拝しました。
754号線を南へ戻り、奈良阪の神社に10時半頃つくと、すでに20人以上の人が
祭りの準備中で、境内の井戸端では男の人達が、黄菖蒲や他の草花を活けて
神社のあちこちに飾っていました。
菖蒲祭は男だけでおこなうのがしきたりだそうです。
神社の奥庭の楠の巨樹などを見た後、11時すぎ祭が始まったので、
しばらく参列しました。神主のお祓いと祝詞、神饌のお供えなど、
普通の神事でしたが、古式のままののんびりとした地元の祭でした。

        男のみ供花調へ菖蒲祭       常朝

       (奈良豆比古神社の大樟)



 近くの植村牧場のレストラン「いちづ」で昼食をいただいたあと、
加茂の美加の原ゴルフ場の東にある「クローバー牧場」を
訪ねました。牛の声の合間に鶯が鳴いていました。
昼前に行った植村牧場では牛舎の前一面に石灰が撒かれていましたが
ここでは牛舎の入口に消毒液入りの箱が置かれて、一般の立入り禁止でした。
4月以来の宮崎県の口てい疫予防のためでしょう。
以前訪れたときは、牛舎の中でかわいい子牛達の顔も見られたのですが、
今回はあきらめました。
牧場を散策後、牧場の主婦の説明をお聞きして特別牛乳やヨーグルトを
いただきヨーグルトを買いました。山椒の実もいただきました。
カルシウムなど栄養分が多い特別牛乳は息子さんがアメリカの牧場で
研修を受け、飼料の与え方、低温殺菌などを研究実践して10年以上かけて
完成したとのことです。

        牛声に夏鶯の応へ鳴く       常朝

       (クローバー牧場)


 その後、加茂駅西側の大仏鉄道のランプ小屋を見て、
木津川の恭仁大橋を渡り、恭仁京跡を訪ねました。
恭仁京は740年から約5年間聖武天皇の都があったところで、
小学校の東側の100メートル四方位の広場には国分寺の塔跡があります。
直径1メートルほどの礎石が10個以上もある塔跡には
心地よい風が吹き、燕が飛んで栗の花と柿の花が咲いていました。
大極殿跡も小学校のすぐ北にあり、高い木にはテイカカズラが
からみついて白い花を沢山つけていました。

        廃線のランプ小屋にも青葉風    常朝

        恭仁京の跡を狭しと夏燕      常朝

        恭仁京に風の道あり柿の花     常朝

       (ランプ小屋)

       (恭仁京国分寺跡)

       (恭仁京大極殿跡)

       (恭仁京説明板)


 さらに西700メートルほどの山麓にある、恭仁神社を訪ねました。
ホトトギスや鶯、雲雀が鳴いていましたが、
ホトトギスを聞き逃した人がいたので、拝殿で待ちましたが、
再びは鳴いてくれず、青葉の杜から心地よい風がきました。
その後、梅谷口東の青葉台ゴルフ練習場の喫茶店「杏樹」で小句会後
4時半すぎ解散しました。

        ほととぎす待てば鳴かずよ杜の風  常朝

       (恭仁神社舞殿と拝殿)