2013年6月15日土曜日

174.斑鳩・法輪寺から三井瓦窯跡、溜池など

「アカシア紀行・俳句」2013年6年14日(金)     前へ    次へ

  空梅雨の青空の暑い日、いつものメンバー6人で、 奈良・斑鳩の法輪寺などを訪ねました。

 法輪寺は、法隆寺の北東0.7キロほどにあり、聖徳太子の病気平癒を 祈願して
山背大兄王が建てたともいわれています。  
我々が入山料500円を納めて山門に入った10時頃は、境内には ほかに誰もいませんでした。

  左手の三重の塔のそばに、受付の女性が教えてくれた高さ6メートル もあるよう
な菩提樹の花がうつむきながら良い香りを放っていました。

  三重の塔は、斑鳩三塔のひとつといわれ、1944年雷で焼けたのを、
幸田文さんらの努力で、飛鳥様式を守って1975年再建されました。
飛鳥建築らしく円柱はふくらみがあり、屋根の形が流れるようです。 

 正面に講堂(宝物殿)があり、右手にこじんまりした金堂、 右奥には妙見堂、
地蔵堂があります。 地蔵堂の石地蔵には「檜(ひのき)の花」が供えてありました。

  また妙見堂のそばに秋艸道人(しゅうそうどうじん・会津八一)の

       くわんのんの しろきひたひに やうらくの
       かげうごかして かぜわたるみゆ

 の歌碑があります。 

   しばらく境内を散策後、宝物殿の本尊「薬師如来」などを 参拝しました。
丸帽の女性の堂守(ご住職のご息女らしい)が 観音像の裏側も案内して、
十一面観音像の後ろ側の観音の笑い顔を 見せてくれました。
11面は3面ずつ違うお顔らしいです。

  左から毘沙門天、地蔵菩薩、薬師如来、十一面観音、 虚空蔵菩薩、
弥勒菩薩、吉祥天の順にならんでいますが、 平安時代の十一面観音の
あでやかさはともかく、飛鳥時代の 薬師如来や虚空蔵菩薩のアルカイックな
お顔がきれいでした。
 左奥には鎌倉時代の聖徳太子16歳像、2歳像もあります。   

       菩提樹の花に風鐸触るる程   常朝 

       円柱のふくらみゆたか青葉風  常朝

            (法輪寺講堂(宝物殿):クリックで拡大:以後同じ)
            (法輪寺沿革説明板)
            (菩提樹の花)
            (三重塔)
            (三重塔説明板)
            (金堂)

 その後、お寺を辞して近く三井の井戸を訪ねました。

 三井の井戸は聖徳太子が造られた井戸といわれ、 瓦葺の井戸屋があり、
小型ながら鬼瓦もあります。
昔来た時は周囲に十薬などの草が沢山生えていましたが、
今はきれいに刈られています。その分風情がなくなりましたが。
かまきりの子が一匹、井戸屋の柱をすばやく登りました。  

 お寺の駐車場に戻り、9号線の交差点にある 桑の木を見ましたが、
時期が遅いのか桑の実はほとんど 見えませんでした。 

       子かまきり意外に速し三井の井戸  常朝

            (三井の井戸)
            (井戸説明板)

 9号線の中宮寺東交差点の北側の「玄米庵」で昼食をいただき、
ふたたび9号線から法輪寺の東の「三井の瓦窯跡」を 訪ねました。
法隆寺などの瓦を焼いた大きな登り窯で、 上半分が地上に出ており、
覆い屋が建てられています。
格子の窓からのぞくと、登り窯の上部の土壇がいくつか見えます。
 近くの柿青葉がきれいでした。 窯跡の下にある瓦窯池は空梅雨で水が減っていました。

  その後斑鳩では一番大きな池、溜池を訪ねました。
 今日は釣り人はいませんでしたが、いつもヘラブナ釣りの人が 2,3人います。
ゴルフ場との境の藪には夾竹桃が咲き、夏鶯が鳴いて、
岸辺には黒鱒(ブラックバス)がじっと浮いていました。
帰りに留めていた車の上を見ると、大きな桑の木が沢山の実をつけていました。
熟した順に、濃紫、橙色、緑ですが、 しばらく指を紫色にして桑の実を味わいました。

       桑の実に腕を伸ばせり白帽子   常朝

       指染めし桑の実の色いつ消ゆる  常朝

             (三井の瓦窯跡)
             (溜池)

  そのあと、法隆寺の水源池である阿摩池を訪ねましたが、
途中に通行止めがあり、中宮寺官墓も車では近くに行けないので、
今回はあきらめ、法隆寺東の「さと」で小句会を楽しんで 3時半頃解散しました。
夕方にはやっと梅雨らしい雲が空を覆い始めました。