2013年10月8日火曜日

181.笠山そばから初瀬ダム

「アカシア紀行・俳句」2013年10年7日(月)       前へ   次へ

  晴天の続く10月初旬、いつものメンバー6人で、奈良県・桜井市の
山中の笠山荒神、笠そば処から初瀬ダムを訪ねました。
主な目的は、そば(蕎麦)の花です。

 最初、笠山荒神の正門に行きましたが、石段が多くてあきらめ、
石段右の天満神社を参拝散策後、西側から、笠山のそば処を訪ねました。
7年前訪ねた時は、席が空くまで1時間以上待ちましたが、
今回は平日でもあり、10時半頃着いたときは駐車場はまだ空車地ばかりで、
笠山荒神の北側の参道前に駐車しました。
直売のさつま芋などを買ったあと食堂に入り、そばをいただいた後、
そば畑へ移動しました。

 そば処の道を西に少し戻ると、針方面への道路標識があり、
北へしばらく走ると、広い畑地に出ます。
畑地の中の電柱のある広い道路に駐車してそば畑を見ました。
周囲は低い山々が囲み、山々から雲が湧き上がっています。
見上げると青空に薄い秋の雲が浮かんでいました。

 畑地は傾斜地で、そば畑のほか、花苗のビニールハウスや野菜畑も
あります。
昼前になったためか、10人近い女性が、ビニールハウスから現れ、
黙ってトラックの荷台に乗り、もう一台の車と坂道を針方面へ
登っていきました。おそらく昼食のためでしょうか。

 そば畑のそばは大方、実がついて茶色っぽくなっていますが、
白い花の畑もあり、よく見ると青い実、茶色の実が付いており、
山風に揺れていました。一部風倒のそばもあります。

 京大農学部の土壌研究用のそば畑もありました。
畑の周囲は、秋の野芥子、待宵草、あかざ(?)などが
囲んでいました。


       青き実をつけて揺れをり蕎麦の花    常朝

       青垣山雲高高と蕎麦の花        常朝

             (笠山荒神の北側参道:クリックで拡大:以後同じ)

             (笠山荒神説明板)
             (笠そば処)
             (そばの花)
             (そば畑)

 その後、北側の道から、38号線に入り、初瀬ダムを訪ねました。
北からの道の正面に神社があります。
正式には「天落神(あまのおちがみ)六社権現神社」です。
説明板によると、昔滝蔵神社(権現)の毘沙門天の宝塔を、
雷神が取って天に昇ろうとしたとき、落ちた所を祀ったとのこと。
川に3社、山に3社ある権現(九頭大明神?)を祀っているので、
六社権現といい、災害防止の神様だそうです。
その1社でしょうか、磐座と、宝塔線刻のある岩がダムのため
湖底に沈んだので、境内に(複製として)宝篋印塔の線刻のある、
2メートル程の大岩が祀られています。
注連が置かれ、中心が白い円形の蜘蛛の巣があり、しじみ蝶が
飛んでいました。昔は湖底の磐座を飛んでいたのでしょう。

 その後、ダム管理事務所の対岸の桜木のある小公園に移動して、
ダムを見ました。水は少ないですが、すすきが水辺にゆれていました。
公園の道沿いには「ごんずい」の木が鮮やかに赤い袋に黒い実(種)を
一つずつつけていました。

       磐座を湖底に残し秋の蝶     常朝

       ダムの影湖面に高し花芒     常朝

             天落六社権現)
             (再現の磐座と宝塔線刻)
             (初瀬ダム湖)
             (初瀬ダム)
             (ごんずいの実)


 長谷寺の門前町を通りぬけ、桜井市阿部交差点近くの天平庵で
小句会をしました。
句会後、「繭の衣」という楕円形の抹茶のお菓子(ダックワーズ)を
いただきましたが、その菓子袋(PP袋)に万葉集の歌が印刷されていました。
草書書きなので読みにくくインターネットによると、


  つくばねの新桑繭(にひくはまよ)の衣(きぬ)はあれど

  君の御衣(みけし)をあやに着欲しも (万葉集14-3350)


でした。奈良時代にすでに筑波山の蚕で絹を作っていたとは驚きです。

 やや暑いくらいのお天気に恵まれた秋の1日でした。