2014年11月23日日曜日

202.奈良・月日亭、峠の茶屋から磐之媛陵

「アカシア紀行・俳句」2014年11月22日(土)   前へ     次へ


 小雪近い11月の快晴の日、いつものメンバー6人で、
奈良・春日原始林入り口の月日亭、峠の茶屋から磐之媛陵を
訪ねました。

 10時前、車で春日大社駐車場東の水谷神社の道を東へ入り、
料亭月日亭の入り口手前に駐車しました。

 あたりは高い木々に囲まれ、見事な紅葉が道を覆うようです。
そばを流れる水谷川(みずやがわ)の谷には、丸い太陽と
月を並べて彫った岩(月日岩)が暗い水面に影を映しています。
岩の手前の岸には、猪があばれたと思われる「ぬた場」があります。

 しばらく紅葉を眺めて散策後、県庁の東側から、
正倉院のそばを通って、1750円を払って奥山ドライブウエイに入り、
4キロ程の地道の先、柳生街道の「峠の茶屋」に行きました。

       月日岩黒黒写す冬の水      常朝

       原始林の道に華やぎ冬紅葉    常朝

              (月日岩:クリックで拡大:以後同じ)          
              (春日原始林の紅葉)
              (水谷川の標識)

 「峠の茶屋」は6年前の4月に訪ねました(アカシア紀行58)が、
70才位になった店主(男性)が今回もひとり、店番をしていました。
店先には床几(机)が2つあり、店先の竈(かまど)には
おでんの鍋が湯気を立てています。
屋根には右書きの峠茶屋の看板があり、軒には草餅と大書した
提灯がぶら下がっています。

 我々は6年前と同じように草餅をいただき、店主としばらく話しました。
ナナという犬は見えませんでした。

 店主は6代目で、跡継ぎがいるようです。
車では有料道路経由しか来られないので、ハイカーが時々立ち寄るだけ
ですが、最近の若い人は殆ど買ってくれないと嘆いていました。

 そのうち若い男女がきたので、お餅でも買ってあげてと
誰かが言ったら、床几に坐ってうどんを注文しました。
左手のマユミの木には薄紅色の実が付いていました。

       小春日や六代目てふ峠茶屋    常朝

       湧き水のおでん売りをり峠茶屋  常朝

              (峠茶屋)
              (真弓の実)

 しばらく散策後、旧ドリームランド前のココスで昼食をいただいて、
平城京北の磐之媛陵を訪ねました。
ここは3年前の5月も訪ねましたが、今は枯れ葉が
混じった睡蓮の葉が濠を覆っています。(アカシア紀行35アカシア紀行125
拝所から見える御陵対岸には山柿が沢山の実をつけて
水面に触れんばかりでした。
土手にはシャシャンボ(小小坊)の木が2本、小さいブルーベリーのような
食べられる実を多くつけています。
濠の岸辺を白い蝶が飛んでいました。

 御陵のすぐ南の水上池には、真鴨が10羽位、鳰が2、3羽、
樹の下に白鳥が一羽いました。時々鵜が飛んできたり、
鳰が忙しそうに水面を走り飛びしたりしました。

 真鴨の雄の頭は青いですが、そばに来てくれた雄一羽が
向きを変えると、冬の日差に頭がさらに青く輝きました。
自転車で来た男性が、先日カンムリカイツブリを水上池で見たが
今日はいないと教えてくれました。
首などは白く頭が黒いそうです。

       皇后陵濠の日差に冬の蝶    常朝

       急用のありしや鳰の走り飛び  常朝

 その後、奈良山の北の梅谷口の北の喫茶店「杏樹」で
小句会後解散しました。


 3連休の初日の好天にもかかわらず、
渋滞に巻き込まれず、静かな原始林の冬紅葉、峠の茶屋や水鳥などを
楽しめた1日でした。

2014年11月13日木曜日

201.吉野・桜木神社から龍門

「アカシア紀行・俳句」2014年11月11日(火)    前へ   次へ

 秋も深まる11月の好天の日、いつものメンバー6人で、奈良・吉野の
桜木神社から津風呂湖、龍門の吉野山口神社などを訪ねました。

 10時前、近鉄飛鳥駅東の飛鳥夢販売所で集合し、
169号線を吉野川に沿って上流の宮滝橋を渡り、
まず象川(きさがわ)ほとりの桜木神社に着きました。

 近江朝時代、大海人皇子(後の天武天皇)が吉野におられた頃、
敵に追われて桜の木に隠れたという伝説のある神社です。

 象川の屋形橋を渡ると木々に囲まれた境内で、斜面に建てられた本殿の
左手前に高さ40メートルもの大きな神杉があります。

 境内の右手は狭いキャンプ場で休憩所があり、並べられた丸太の椅子には
キノコが沢山付いています。川幅は狭いですが大きな岩がゴロゴロして、
岩の間を澄みきった水が流れています。

 本殿右には山辺の赤人の万葉歌碑

「み吉野の象山の際(ま)の木末にはここだもさわぐ鳥の声かも」

があり、赤人が聞いた鳥の子孫でしょうか、
カケスがギャーというような声で何度も鳴きました。

 その内、一人の男性がブロア(木の葉を飛ばす)で、川向うの道の
落ち葉を掃除し始めました。


       象谷に一樹明るき銀杏黄葉    常朝

       懸巣鳴く桜植樹のある杜に    常朝

              (桜木神社:クリックで拡大:以後同じ)          
              (神杉)
             (休憩所)
              (山辺赤人の歌碑)
              (象の小川)

 しばらく散策後、吉野川・桜橋の平宗で昼食をいただいて、
169号線を東へ戻り、津風呂湖の自然公園を訪ねました。

 公園は、ダムの南側で東に駐車場、売店、釣り店があり、
土手から湖を見下ろすと、大きな桟橋に4、5人が
ワカサギ釣りをしていました。
秋の日差の中、割合よく釣れているようです。
青い湖を囲む山の緑に所々紅葉が見えます。

       寒釣の人よく動く日和かな    常朝

       山囲む湖青し冬紅葉       常朝

              (津風呂湖釣り桟橋:クリックで拡大:以後同じ)          
              (津風呂湖ダム)

 湖から北上して、平尾交差点を右折、龍門の吉野山口神社を訪ねました。
神社の説明板によると、江戸時代紀州の殿様が参勤交代の折、
ここに参詣したようで、吉宗公寄進の大きな燈籠が2基あります。
周囲は田や畑があり道は農道の拡張のようでいずれも狭い集落です。

 拝殿は割拝殿ですが、真中の扉は閉じられていました。
本殿は大きくはないですが、さほど古びておらず左右に孔雀の壁画があります。
右手にも別の摂社がありますが神名の表示はありません。

 右手の大杉の根元に雀蜂が巣を作っていたようで、
巣の後に砂利が置かれて、杉の落ち葉も掛かっていました。

 その後、北西0.5キロ程の菅生寺(すぎょうじ)を訪ねました。
竜門は菅原道真公の父母の土地で、道真公誕生地との伝説もあります。
本堂の壁には、歴代天皇の肖像が掛かっているとのことですが、
時間の都合もあり、今回は本堂参拝をせずにお庭だけを拝見しました。

 庭には仏像のほかに、菅公の「龍門寺に遊ぶ」の詩碑があります。
菅公が宇多天皇のお供で当時あった山上の龍門寺を訪ねた時の
詩です。しばし都の政務を忘れて遊んだ寺と自然を讃えた詩です。

       本殿の壁画に孔雀冬日差     常朝

       菅公の詩碑に山茶花龍門寺    常朝

              (龍門の吉野山口神社)
              (本殿)
              (菅生寺)
              (菅公詩碑の説明板)

 お寺を辞して、橿原市に戻り、橿原観光ホテルで小句会後、
解散しました。
芭蕉も訪ねた龍門の地名は聞いていましたが、
生まれてはじめて現地を訪ねることができました。