2009年9月20日日曜日

92.和歌山・加太の淡島神社ほか

「アカシア紀行・俳句」2009年9月18日(金)

 9月のさわやかな日、いつものメンバー6人で和歌山・加太へ
吟行しました。

 9時半高速阪和道の岸和田サービスエリアで集合し、さらに約10キロ、
泉南インターチェンジで降り、26号線を南下し、加太漁港を
めざしました。途中、「加太漁港へ右折」の道路標識があったので
すなおに右折すると、加太漁港へはいけず、結局海岸沿いに淡輪漁港に
着きました。標識が右折するロータリーの約1キロ手前でした。
交通案内には、このような不親切がよくあります。

 電車では、南海電車の淡輪駅から北約1キロですが、加太港へは、
南海電車加太線終点の加太駅から西へ約1キロです。

 淡輪(たんのわ)漁港には数十艘の漁船が止まっており、
漁師さんが一人一艘の船にいたので聞くと、もう朝の漁は終って
帰港した船ばかりだそうです。
船溜りの海には10センチ位の海たなごが群をなしていました。

 左側(西側)の船溜りには船はありませんが、見ていると突然
青鷺が太刀魚をぶら下げ飛んできて波止に降りました。
近寄ると、一旦くちばしから太刀魚を離し銜えなおして飛びさりました。
そのあと、鴨が一羽船溜りに着水し泳いできました。

 その後加太の休暇村で昼食をいただきました。
加太休暇村は小高い山の上にあり、展望台から加太の海や友が島、淡路島、
かすんで四国が見えます。
食後、休暇村の前の弾薬庫跡を見学しました。

        初鴨のきたる船なき船溜          常朝

        目の慣れて田平子見えたる秋の海      常朝

       (淡輪漁港:写真はすべてクリックで拡大)
       (休暇村展望台より加太港)

       (弾薬庫跡)


 休暇村から下の26号線に戻り、さらに西の加太に行き、
淡島神社を参拝しました。淡島神社は人形供養で有名な神社です。
毎年雛祭りの日には加太の海に雛を流すそうです。

 神社に入ると、本殿から雛倉、末社にまでさまざまな人形が置かれていて、
まるで人形展示館です。本殿の左には針塚がありました。
本殿内には由緒ありげな女雛男雛など、回廊と床下には日本人形、
市松人形、フランス人形、羽子板までおかれ、
左の小堂や庭には蛙、招き猫、信楽焼きの狸、堂の壁には
さまざまな面まで掛けられています。
いずれも奉納されたもので2万体もあるようです。
見ていると少し気味が悪くなりました。
夜に一人では来れないでしょう。

 その後神社下の砂浜を歩いてから、港の魚市場を訪ねました。
魚のせりは午後3時かららしいですが、見学者は入れないとのこと。
市場の建物は、巾20メートル奥行き30メートル位の大きさで
床に100個位の生簀が並べてあり、それぞれに鯛やはまちなどの
魚が泳いでいます。
我々は入口に近い個人客用の生簀から生きた鯛を買いました。
売ってくれた社長に鯛を締めてもらいましたが、
帰りの車の中では鯛がしばらく氷の音を立てていました。
帰路の岸和田サービスエリアのだんじり庵で4時から5時半頃まで
小句会後解散しました。



        秋風や波やさしくて加太の海        常朝

        人形の見ている秋の加太の海        常朝

       (淡島神社本殿)

       (淡島神社の人形)

       (加太魚市場の生簀)

2009年9月3日木曜日

91.奈良・柳生から曽爾高原

「アカシア紀行・俳句」2009年8月30日(土)

 8月も終わりの日、いつものメンバー7人で奈良・柳生から曽爾高原へ
吟行しました。

 9時名阪国道の針・道の駅で集合し、369号線を約3キロ南下し、
室生方面28号線へ左折、室生寺を過ぎて約500メートルほどの、
龍穴神社に立ち寄りました。

 龍穴神社は、うっそうとした杉林に囲まれたいかにも奥に竜神が
いるような神社です。
由緒略記によると、奈良時代末期の光仁天皇の頃、後の桓武天皇である
山部王の病気平癒を祈祷したとのことで、それ以上古い神社でしょう。
祭神は、高おかみ(雲かんむりの下に龍)の神で、
さらに天児屋根命(あめのこやねのみこと)など5神を祀っているようです。
神社の後方1.5キロ位の岩壁に、龍穴という洞穴がり、近くに天の岩戸や
雨乞いの滝もあるとのことですが、我々は登りませんでした。
 入口右には、根元近くでつながった、2本の杉の巨樹があり、
連理の杉として祀られていました。
また、入口の石垣下に冷たい湧き水が流れ出ていました。
本殿とも江戸時代に再建、移築された相当古色ゆたかなもので、
拝殿前の庭の両側には長い献灯台が建てられています。


        水神の谷の流れに秋の蜂        常朝

        龍神の湧き水受けて夏惜しむ      常朝

       (龍穴神社:写真はすべてクリックで拡大)
       (龍穴神社の連理の杉)


 その後、369号線の掛の信号を北に川を渡り、81号線を川沿いに
東に走り、案内板に沿って、屏風岩公苑に車で登りました。
屏風岩は海抜800メートル、高さ100メートルもあるかと思う、
大きな柱状節理の岩壁で、ふもとは公園になっています。
岩を見上げていると、色々な模様にも見えますが、
ピカソの絵にあるような尖った顔もありました。
ふもとは秋草が咲き、カメラマンが野鳥を狙っていて、
シメという珍しい小鳥の写真を見せてくれました。
モグラ塚や竹煮草の実もありました。

        屏風岩顔にも見えて天高し      常朝

       (屏風岩)


 81号線に戻り曽爾村の門僕(かどふさ)神社に参拝しました。
ここは曽爾村の鎮守の神様で、天児屋根命(あめのこやねのみこと)のほかに、
6神を祀っているようです。
道沿いの杉林にかこまれた神社で、拝殿は石段の上、巾3~4間の古い建物です。
道を隔てた曽爾川では数組の親子連れが水遊びや、魚すくいを楽しんでいました。


        産土神(うぶすな)の川に親子の鮴(ごり)すくふ  常朝

       (門僕神社の曽爾川)

       (曽爾ファームガーデン)


 その後、12時すぎ曽爾高原お亀の湯の近くのファームガーデン・すすきの館で
昼食をいただき、13時20分ころ曽爾高原駐車場に着きました。
 曽爾高原はススキの草原で有名ですが、8月末ではまだススキの穂は、
細くてまっすぐ空を向いていました。
高原の一本道を歩くとまさに花野、ゲンノショウコ、オミナエシ、フジバカマ、
ハギ、アザミ、ナデシコ、ヒメジオン、キンミズヒキ、ウツボグサ、クルマユリ、
ツリガネニンジン、シシウドなどが咲いて、お亀池の湿原には、サワギキョウが
濃い紫の花を咲かせています。
出口に近い道端のススキの根元にはナンバンギセル(思い草)が紫の
筒型の花をやや下向きにつけていました。
その後、81号、369号、28号線経由で針インターチェンジに戻り、
道の駅のレストランで小句会後、5時頃解散しました。


        ししうどの白き花火に天高し        常朝

        奥深く咲くは色濃き思い草         常朝

       (曽爾高原)

       (思い草:ナンバンギセル)