2012年1月10日火曜日

141.蘇我邸跡、飛鳥神社から綱掛神事

「アカシア紀行・俳句」2012年1月9日(月)

 龍の年の成人の日、いつものメンバー7人で奈良・飛鳥川の
勧請縄の綱掛神事(お綱掛け)に参拝しました。

 神事は午後だったのでその前9時半頃飛鳥駅前の夢販売所で
集合後、甘樫の丘の東南のふもとの蘇我邸跡の発掘現場を
見学しました。

ここは1977年頃からの発掘調査で、飛鳥時代権力のあった蘇我家の
邸宅の跡と推定され、何度か現地説明会があった所です。
駐車場のすぐ北側約80メートル四方の現場には今は誰もいませんが、
手前の30X10メートル位は発掘中らしくシートが掛けられており、
南端で水中ポンプが音を立てていました。
説明図によると長さ10メートル程の建物の跡がいくつかあり、
外からは見えませんが石垣跡もあるようです。


        蘇我邸の発掘現場冬ざるる     常朝

        (蘇我邸発掘現場:クリックすると拡大:以下すべて)

       (説明板)


 その後、飛鳥寺東の飛鳥神社を訪ねました。
ここは事代主命を祀る神社で、代々飛鳥家が宮司ですが、
折口信夫(釈迢空)の祖父が養子となり宮司を務めたこともあり、
何度か訪ねたようで、釈迢空の歌碑もありました。
鳥居の前には橘の木が実をいっぱいつけていました。
急な石段をのぼると拝殿があり、お酒などが供えてありました。
拝殿から見える本殿には小石を積んで供えてありました。

 境内には陽石があちこちにあり、結びの神石と名付けた
陰陽の石の対に注連縄があります。
右奥の奥社には高さ1メートルほどの陽石が祀ってあります。
毎年2月第一日曜に行われる夫婦和合の奇祭:おんだ祭
(御田植祭)は有名です。
拝殿の右には寒桜が咲き、ヒヨドリが鋭く鳴いていました。
絵馬掛けには合格祈願などの切実な言葉が沢山ありました。
 参拝後しばらくすると、数人の男女がきて、拝殿で祝詞を
合唱(?)しました。

        奥社に陽石ひとつ冬籠り     常朝

        絵馬祈願うなづき読みし冬の杜  常朝

        (飛鳥神社)

        (飛鳥神社由緒)

        (飛鳥神社拝殿)

       (奥社の陽石)


 境内を散策したあと、飛鳥駅南の「ペンション飛鳥」で
昼食をいただき、綱掛神事のある稲渕へ行きました。

 我々が着いた1時頃にはすでに10台位の車が稲渕の大橋の手前
(北側)の駐車場にありました。
橋のすぐ手前の道脇にテントが2つあり、
暖かい甘酒が振舞われていたので、一杯ずついただきました。
対岸の棚田の中腹には青い龍がこちらを見ていました。

 神事は3時頃からとのことでしたが、橋の下の狭い平地では
数人の地元の人々が勧請縄を準備中でした。
飛鳥川の勧請縄は2つ(男綱と女綱)があり、こちらは男綱で、
女綱は1キロほど上流の柏の森地区の入口にあります。
従来男綱と女綱の綱掛神事は同じ1月11日に実施されていましたが、
人手不足のため今年から、9日と11日に分けて行われるようになった
とのことです。

 すでに、下の小橋の上には祭壇が置かれ、欄干には、
蜜柑と神事の祈願紙が先に取付けられた長さ1メートル程の竹串が
100本ほども立てかけられています。
地元の人々が順次串を立て、遠方からの人も含め100人以上の人が
集ったようです。

 しばらく時間があったので、150メートルほど上流の
板橋の行き飛び石を見ました。昨年夏、蛍狩で来た所です。
また、小橋のすぐ上流に井堰があり、取水口で別れた水が
大橋下で飛鳥川に戻っていました。

        井堰より分かれて戻る冬の水   常朝

        飛び石の道の細きに水菜畑    常朝

        (降ろされた古い男綱)

       (飛鳥川の飛び石)



 2時すぎから、川の両岸に掛かる70メートルもある、
古い男綱が降ろされました。
橋の上から道の脇に新しく藁で編まれた綱が伸ばされ、
真ん中に太さ30センチ以上、長さ1メートル以上の藁で編んだ
円筒形(男性シンボル状)が取付けられました。、
同時に綱の2メートル毎に、榊枝、紙垂(しで)、藁を順に
取り付けるのですが、数が多いので我々参加者もも手伝いました。

 2時半頃、新しい綱が掛けられ、紙垂の白い紙が、寒風に
音を立ててはためきました。
綱掛けの途中、車が来ると、2、3人で綱を持ち上げて、
「とおりゃんせ」をしていました。

 3時過ぎ飛鳥神社の飛鳥宮司が見えて、神事が行われました。
3時半頃終わったあと、祈祷の串と蜜柑をいただきました。
祝詞の途中冬風が吹き時雨が来ましたが、帰りの車に乗ると止んでいました。

        お綱掛け祝詞を飛ばす寒の風    常朝

        (祭壇とみかんの竹串)

        (柿の木に掛けられる男綱)

       (綱掛神事)

        (掛けられた勧請縄・男綱)

 その後神事でお会いした結社のImさんを橿原神宮駅まで
お送りし、橿原観光ホテルで小句会後、5時半頃解散しました。
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