2008年3月12日水曜日

57.奈良東大寺二月堂・お水取り

「アカシア紀行・俳句」2008年3月10日(月)


 3月にしては暖かい日、妻、義兄姉らと奈良・東大寺二月堂の
お水取りに参拝しました。
お水取りは正式には修二会と呼び、約1200年前から続く二月堂の観音様に
懺悔と国家安泰を祈る行事で、毎年3月1日から14日深夜までお松明と行が続きます。
なかでも12日夜、閼伽井屋(あかいや:井戸のある建物)の中の井戸から、
若狭から送られた水を香水として汲み、観音様に供えることから、
行事全体をお水取りといわれるようです。

 我々は駐車場をやっと見つけて午前11時前二月堂の下に着きました。
閼伽井屋の周囲は新しい榊(さかき)で巻かれていました。
絵馬堂茶屋で昼食後、11人の錬行衆の食堂(じきどう)作法を見学(?)しました。
食堂は二月堂の下にありますが勿論一般者は入れず、周囲の庭などで、
童子らが僧の食事のお世話をするのを見学しました。
食事は童子らが下の湯屋で昔ながらのかまどで薪を焚いてつくり、桶などで
食堂に運びます。食器などは跳ねつるべで井戸から汲み上げた水を使います。
付近には大きな竹先に杉葉を束ねたお松明が立てかけられていました。
食堂作法が終わり食堂出口で錬行衆がひとりずつ生飯(さば)というおにぎりを
閼伽井屋(お水取りの水を汲む井戸のある建物)の屋根に投げ上げます。
これは僧が食事の時、施行のため鳥たちなどに残した御飯を紙に包んだものです。

 その後北側の谷を上り「まんなおし地蔵」にお参りしたあと、休憩所で
簡単な句会をし、早い目の夕食を摂ったあと、5時すぎから二月堂下の
芝生の段にシートを敷いてお松明を待ちました。
お松明はもともと夜錬行衆が堂に上がる足元を照らすのが目的ですが、
今はその松明を舞台の上で廻したりして参拝者に見せるショーのような行事に
なっています。
待つこと約2時間、7時から最初の松明に火がつけられ登廊の下から錬行衆が
ひとりずつ登っていきました。
勿論僧の前に大きな松明がつけられまるで登廊の火事のような明るさです。
舞台に上った童子は松明を持って舞台を北から南の端までが走り、
舞台の端でぐるりと回転します。
すると大きな火の粉が上からばらばらと散る様子はテレビでよく見るように
壮観でした。
芝生に立つ三代目の良弁杉の梢には火星でしょうか、大きな星が出ていました。
7時半ころ11人の僧の夜の上堂は終わり、10回目のお松明は終りました。
その後我々は二月堂の中に入って参拝し、お水取りの行を格子の外から
帳(とばり)ごしに拝見しました。
祭壇周囲を動く僧の沓音や読経が暗い堂内に響き、おごそかで神秘的でした。
夜8時半ころ二月堂を辞しました。


         閼伽井屋の榊新たにお水取     常朝

         お松明良弁杉に星も出て      常朝


        (食堂とお松明)

        (食事を運ぶ童子)

0 件のコメント:

コメントを投稿