2010年2月8日月曜日

99.法隆寺・西円堂の追儺式

「アカシア紀行・俳句」2010年2月3日(水)


 節分の夕方いつものメンバー5人で斑鳩・法隆寺西円堂の追儺式に行きました。
駐車場に着くと、空は恐ろしいような黒雲が北から流れていました。
夜7時からの追儺式まで時間があったので25号線の「さと」で夕食後、
再び駐車場に戻り、ゆっくりと西円堂に歩きました。
峰の薬師といわれる西円堂に着くと、堂の周囲に太い鉄管で高さ5メートルほどの
金網が張りめぐらされており、狭い正面以外はお堂に近づくことさえできません。
金網の中と周囲には消防隊員、自警団の人たちが、警護や消火の準備をしていました。
すでに2,30人の人がきていましたが、7時前には100人くらいの人々が狭い庭に
ぎっしり立っていました。

 お堂の中からはすでに法要のお経の声が聞こえます。
7時になると、お経は終わり、鐘と太鼓の音が聞こえました。
しばらくすると、鐘の連打が数秒間あり、いよいよ鬼が出てくるかと
かたずをのんでいると、自警団の人がマイクで、この鐘は
7回半のうちの1回目ですと説明しました。

 30分ほど間延びのする、鐘と太鼓(小さい音)の数秒演奏を聞いたのち、
お堂の正面から、まず黒鬼がまさかりを持ってあらわれ、堂の周囲の基壇の上で、
ゆっくり前後、上下にまさかりを動かし、最後にそばに立つ人から
松明を受け取り、観客の方へ投げつけました。
松明は、金網に当たって火花が観客の方へ飛び散るので、
悲鳴が上がりましたが、この火花を浴びると今年無病息災に過ごせるそうです。
高い金網の意味がこれでわかりました。
松明や火くずは、たちまち消防団の人たちによって片づけられます。

 そのあと、青鬼が如意棒を、赤鬼が剣を持って同じような仕草ののち松明を
投げました。
ときには松明が金網まで届かない時もあり、すこしがっかりします。
とくに赤鬼は、酒に酔っているようで、松明を投げる時よろけていました。
3回鬼たちが同じ仕草を繰り返したあと、毘沙門天が鉾(ほこ)を持ってあらわれ、
基壇を巡ったあとお堂に入りました。
鬼が毘沙門天に退治されたということのようです。
8時前に儀式は無事終わり、大勢の人々は自警団などの警護のなか、石段を
下りて帰りました。
黒雲が去り澄んだ夜空にはオリオン座、冬の大三角形などきれいな冬星があり、
天も地も鬼たちが追い払われたようでした。
われわれは再び「さと」で暖かい飲物をいただいたあと解散しました。

        斑鳩の星空澄みて鬼やらい   常朝

        鬼やらい鬼の松明飛んできし  常朝

       (西円堂の追儺式の黒鬼:写真はすべてクリックで拡大)

       (投げられて堂の軒に当たった松明)

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