2015年11月7日土曜日

224. 笠置寺、夜支布山口神社から円成寺

「アカシア紀行・俳句」2015年11月6日(金)    前へ   次へ

 秋も深まりゆく11月上旬の一日、いつものメンバー6人で、
紅葉狩として奈良・笠置寺から柳生の夜支布(やぎう)山口神社、円成寺を訪ねました。

 笠置寺は、奈良時代から大岩の磨崖仏を本尊にし、東大寺二月堂の
お水取り行事の起源にもなった実忠和尚ほか高僧の修行の場、信仰の寺として
栄えたが、1331年元弘の変で御所を脱出した後醍醐天皇と鎌倉幕府軍との戦いで
全山焼亡後、明治に丈英和尚により再興されたとのことです。

 寺へは笠置町の郵便局の南約200メートルに登山口の門のある急な坂道を登ると、
30台位の駐車場(駐車料500円)があります。
そこからさらに100メートルほど登ると旅館・松本亭の前の石段から笠置寺の境内で、
受付で入山料300円を納めて、磨崖仏のある岩場へ歩きました。

 正面奥には正月堂があり、その左側に高さ15メートル程の大岩の弥勒菩薩の
磨崖仏があります。お堂のそばには大きな楓紅葉が一樹あり、白い岩肌に映えていました。
しかし弥勒菩薩のお顔は火災などで剥がれて殆ど見えなくなっており、X線撮影で
復元塗布した像を撮影した写真が正月堂に祀られていました。

 さらに下へ降りるとお顔がはっきりわかる虚空蔵菩薩の磨崖仏や
実忠和尚が修行したという千手の屈やが岩のすきまを潜る胎内くぐりの岩場があります。

 受付奥の右手には、木に取り付けたコウモリの巣箱があったようですが、
私は気が付きませんでした。

 境内の紅葉の程度はまだ半分くらいでしたが、周囲の岩や木々の緑に映えて
爽やかな美しさを見せていました。

       磨崖仏高し笠置の紅葉かな     常朝

       雉飯もありし笠置の薬喰      常朝

         (笠置寺入口:クリックで拡大:以後同じ)    
          (笠置寺受付)
         (笠置寺本坊)
         (弥勒菩薩の磨崖仏)
         (正月堂)
         (復元された弥勒磨崖仏の写真)
         (虚空蔵菩薩の磨崖仏)
         (松本亭レストラン-かさぎ「鹿鷺」)

 その後、松本邸でキジ釜飯をいただいたあと、柳生へ戻り、夜支布山口神社を
訪ねました。
大柳生交差点の少し北の消防署分署から東側の道を1キロ程南下した
山懐にある神々しい雰囲気の神社です。
楓は数本ありましたが、まだ青葉か薄紅葉で、南天の実が赤く輝いていました。

 社務所の軒には後醍醐天皇の御製遺蹟の額が掛かり、薄れて読みにくいですが、
笠置山から宇治方面へ落ちられたとき、近くの一本松で休まれてつくられたとされる
御製の短歌が、古蹟図と共に書かれています。

  さして行く 笠置の山を 出でしより 天が下には 隠れ家もなし  後醍醐天皇

  いかにせん たのむ陰とて 立ちよれば なお袖ぬらす 松の下露  万里小路藤房

 同じ絵馬の続きに牛若丸誕生の古蹟とありますが、薄れて字が読めないので
インターネットで調べると、この神社の北西300メートルほどの川沿い遊歩道に
道を覆う小さな「常磐の森」があり、そこで常盤御前が産気づいて、土地の長谷川金右衛門の
援助で牛若丸を産んだとのこと。後に義経からもらった棒術の流儀が柳生藩の長谷川棒術の
始まりだそうです。

 数年前訪ねたときイモリのいた池は落ち葉や芥で動いているものが見えません。
境内の青木の実はまだ青く、葉に雨蛙が一匹止まっていました。
 
       御製額社務所の軒に冬隣      常朝

       裾のまだ青き紅葉の見事なる    常朝

         (夜支布山口神社:やぎうやまぐちじんじゃ)  
          (イモリのいた神社の池)
         (御製と古蹟の奉額)

 その後、369号線に戻り、円成寺を訪ねました。
ここは5年前の早春、月ヶ瀬へ行く途中立ち寄りましたが、今回は紅葉のおかげで
境内は華やかです。(参照:アカシア紀行98

 楓の紅葉が進み、ウメモドキの実と共に緋鯉が遊ぶ池に映えていました。
特に裾のほうがまだ青葉なのに上の枝が紅葉している木は、
紅葉の度合いが程よくて見事な美しさです。

 池の小さな中の島には草雲雀が高い声で鳴いていました。
境内の売店では餅などと共に松茸(3本5000円)を売っていました。
店の右手の「ばったんこ」が、音と共に日に光る水を落としていました。

       中の島はここよと鳴けり草雲雀   常朝

       山寺の光も落しばつたんこ     常朝

         (円成寺の庭園)    
         (円成寺の山門)

 奈良への帰り道にある植村牧場の「いちづ」に立ち寄り、小句会後解散しました。
深まる秋の笠置・柳生の紅葉と自然をゆっくり楽しめた一日でした。

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