2008年12月30日火曜日

79.童仙房・沈下橋から柳生芳徳寺

「アカシア紀行・俳句」2008年12月18日(木)


 師走の朝曇りの日、いつものメンバー7人で南山城村の童仙房から野殿の
神社や木津川あたりを吟行しました。
やはり午後は晴れになりました。

 童仙房は江戸時代までは京・大和・尾張の三国にはさまれた山地だった
ようですが、明治政府が開拓を勧めたとのことです。
JR関西本線の大河原駅の東から山地へ狭い山道を10キロほど走ると
急に田畑が広がる童仙房につきました。

 まず案内板に従い「總神寺」をお参りしました。
ここは日蓮宗の寺で、日譽上人が昭和41年開山されたとのこと。
しかし境内には本堂、釈迦堂、日蓮上人の像などのほかに神社もあり、
八幡大菩薩、素戔鳴尊、のほか、ハワイの火の神女神ペレまで祀っています。
また神馬像や大きな鷲の像もあります。
境内はやや高台にあるので冬霞の山々や村の一部が見えました。
庭の苔には日陰カズラが日差を受けて若緑色を見せていました。

 その後東の野殿という所の千体仏があるという福常寺にいきましたが、
小さな無住のお堂があるだけで、中は拝観できませんでした。
庭の土手には龍のひげの青い玉がいくつかありました。
さらに東の六所神社を訪ねました。
せまい道の奥に立派な杉林の参道があり、萱葺きの落ち着いた
覆い屋(本殿)と萱葺きの舞殿があります。
舞殿には「京都の自然二百選」の認定証が掲げられていました。

 のち木津川付近へ戻り、「レストランおしはら」で昼食後、
木津川の沈水橋に行きました。
レストランの壁の上の方には女店主が書かれた人生標語が
30枚くらい貼ってあり、その中には私も好きな
「諦めなければ失敗でない」「目に見えないものが一番大事」
などもありました。庭には破芭蕉が数本立っていました。

 沈水橋はこのあたりには二つあり、二つとも車を止めて歩きました。
大水が出ると水中に沈みますが流れないよう、コンクリートの低い橋があり、
小型車がやっと通れる狭い巾でした。
歩くとすぐ下を冬の澄んだ川が流れ寒風が吹いてきます。
 二つ目の橋では偶然、鮒の放流を見ることができました。
漁業組合の2人が小型トラックで「へら鮒」の小鮒を500キロ運び、
車の水槽のホースから大きなバケツへ何度も小鮒を入れ、
橋のたもとから放流するところを、カメラに撮らせてもらいました。

 まだ少し時間があったので、夕方笠置経由で柳生の芳徳寺を訪ねました。
芳徳寺は柳生藩の柳生氏の菩提寺ですが、母が生前、歌人であった
先代の奥様に師事していたので母を乗せて車で何度か訪ねました。
ひさしぶりに訪ねると正木坂道場や学舎が立派になっていました。
寺の落葉の道の奥には柳生家墓所があり上泉伊勢守、石舟斎、
徳川家の剣道指南であった柳生藩初代の宗矩(むねのり)、子の十兵衛三厳
(みつよし)以下、80基ほどの墓石があります。
中には酒好きの人の盃型の傘と徳利型の墓石もありました。
4時頃お寺を辞して、奈良市内の喫茶店で小句会後解散しました。


         女神ペレ祀ってゐたる冬の杜   常朝     
          
         破芭蕉破りて音を確かめし    常朝

         放流の小鮒離れず冬の川     常朝
  
        (總神寺・写真はすべてクリックで拡大)

        (六所神社)

        (レストランの標語)

        (沈水橋)

        (鮒の放流)

2008年12月9日火曜日

78.九品寺・葛城山から傘堂

「アカシア紀行・俳句」2008年12月4日(木)


 小春日和の日、いつものメンバー6人で奈良・御所市の九品寺を最初に、
葛城吟行に行きました。
翌日は寒い雨でしたからいつもこのメンバーは天気に恵まれています。

 九品寺は近鉄・御所線の御所駅から南西約3キロほどの、葛城山の
東のふもと楢原(ならはら)地区にある立派な寺で、奈良時代行基が開き、
のちに弘法大師が中興したといわれています。
我々は車で南阪奈道路の大田南出口から山麓線を約4キロ南下しました。

 境内の裏山に沢山の石仏が階段状にぎっしり安置されていて、
全部で1600体以上あるようですが「千体仏」あるいは「千体石仏」と
いわれています。

 道脇にも石仏のある細い急坂の参道を登ると、紅葉の木々の下に
その千体仏がありました。
南北朝の兵士を弔う石仏とのことで、目鼻は殆どわからないほどです。
石仏の前後も紅葉が散り敷いていました。
その上(奥)には護国地蔵と石の鳥居があり向こうは戦没者の墓です。
お墓に鳥居があるのは珍しいですが多分戦没者は神として
祀られたからでしょうか。しかし石碑には戒名がありました。
中央奥の忠霊塔の前の御手洗には山から谷水がホースで引かれて、
小さな噴水を作っていました。
またその上には太陽電池のセンサーライトが付けられています。
夜にお参りする人がいるのでしょうか?

 その後、境内の北約100メートルほどの田の中にある
番水時計塔(番水塔)に行きました。
これは高さ2メートルほどのコンクリートの塔に時計の箱が
置かれているもので、貴重な葛城山の水を田に配分するための時計塔です。
我々が行ったときは田は刈田でしたから中の時計ははずされていました。
番水塔の下には細い流れと小さな分水堰があり、そこから2つの流れに
分けられていました。南側の流れを砂袋で堰きとめていました。

 竹内街道入口の「一乃庵」で昼食後、2時半のロープウエイで葛城山に
登りました。
ロープウエイはわずか6分で頂上ですが、途中きれいな紅葉が見えており、
期待して上の駅で下りると、木々は殆ど裸木で、紅葉は見られません。
15分ほど歩いて頂上にでるとススキの原があり、眺めは最高でした。
三毛猫が一匹近づいて我々に何かを言っていました。

 4時のロープウエイで下山の後、二上山の東1キロほどにある
染野の傘堂に行きましたが、夕闇が迫ってきたので、近くのモンチッチで
小句会後解散しました。


         迫りくる千体仏に照る紅葉      常朝     
          
         見上げたる首を一周照紅葉     常朝

         頂上の皆奈良を向く枯薄       常朝
  

        (九品寺・写真はすべてクリックで拡大)

        (千体石仏)

        (番水時計塔)

        (葛城山頂)

        (傘堂)

77.箕面温泉

「アカシア紀行・俳句」2008年11月25日(火)

 小春日和の日、いとこ会の3夫婦で箕面温泉に行きました。
吟行でなく親睦が目的だったので、作句の機会はあまりなかったですが。

 阪急箕面線の終点箕面駅に着いたのは11時すぎ、
駅前からの坂をゆっくり登り、箕面温泉ホテルのエレベータの下に
着いたのは11時半ころでした。
まずスパーガーデンのレストランでバイキングの昼食をいただき、
温泉に入りました。
温泉はかなり広くて、大温泉、露天風呂、乾式サウナ、湿式サウナ、
滝打ち温泉など一通り温泉を楽しみ、上の劇場で歌謡ショーを楽しみました。

エレベータの下も紅葉で、上からの眺めも良かったのですが、
紅葉はまだこれからという木々が多かったです。
帰りは、坂の途中の売店で紅葉のてんぷら、柿などを買い、
大阪へ戻り解散しました。
今回は滝までは歩かなかったですが久しぶりの従兄従姉との
再会と温泉を楽しみ1日ゆっくりできました。


         エレベーター上がる前から山紅葉   常朝     
          
         渋柿を売れりそのうち甘うなると   常朝

        (箕面温泉カフェテリア・写真はすべてクリックで拡大)

        (エレベータ最上階からの眺め)