2014年4月20日日曜日

190.京田辺・観音寺、酒屋神社から京都府立大公園

 「アカシア紀行・俳句」2014年4月17日(木)     前へ   次へ

 曇りながらも暖かい春の日、いつものメンバー5人で、
京田辺市の観音寺、酒屋神社から京都府立大公園を訪ねました。

 観音寺は近鉄京都線・三山木駅の西約2キロにある、今は真言宗のお寺です。
2007年にも訪ねましたが、奈良時代に創建された、法相宗などの寺で、
毎年2月東大寺二月堂のお水取りの松明のために竹送りをしています。

 今回は参拝ついでに、菜の花まつりとして、参道周囲の田を埋め尽くす
菜の花などを拝見しました。

 今年は19日(土)から農作業のため、菜の花を見られるのはあと2日のみ
という時期でしたが、花はまだまだ沢山咲いていました。
気のせいか花の黄色の強さは少し弱くなっていましたが。

 参道には、日本タンポポ、トキワソウも咲き、ノビルもでています。
鶯の声の合間に本堂からは参拝客へのご住職の話し声が漏れ聞こえました。

 境内には池が2つ、本堂周囲には幅1メートル程の濠があり、大鯉が
泳いでいます。小さな溝のそばには「地獄の釜の蓋」ともいわれる、
紫の「きらん草」も咲いていました。
左手には、地祇神社があり、神社の右手には、塔心跡の標識がありました。

       菜の花の包む参道一歩ずつ    常朝

       菜の花や笑顔に見ゆる鬼瓦    常朝

              (観音寺本堂:クリックで拡大:以後同じ)
              (菜の花畑)
              (きらん草)
              (説明板)

 その後、同志社大学田辺キャンパスの中の道を通って、
興戸地区の酒屋神社を訪ねました。

 神社は、説明板によると、神功皇后の三韓征伐の際、山中に酒壺を埋めて、
(戦勝を祈り)無事帰国したので、建立したとのこと。
藤原氏の先祖中臣の一族が、ここで酒(あるいは酒器)を作ったので、
祖先を神として祀ったともあります。

 境内はさほど広くないですが、拝殿の奥に本殿が山に接するように立ち、
参道右の水の抜かれた池に若草が伸び、左手には神具などの物置でしょうか、
倉庫があり、広場の右手は児童公園のように遊具が幾つか置かれています。

 拝殿は割り拝殿で、中の通路の両側に長椅子が置かれて、
男性が一人座っていたので、話をしました。
拝殿には出征軍人名を列挙した奉額もありました。
ときどき歴史好きの男性や歴女達が団体で訪ねて来るそうです。

 樹齢200年という大きな栂の木が、小さな松かさのような実を落としていました。
数年前一人で訪ねたとき、キビタキが美しい声を聞かせてくれたので、
あわよくば、また聞けるかもとも思いましたが今回は鶯だけでした。

       奉額に出征人名春の風    常朝

              (酒屋神社)
              (説明板)
              (参道)

三山木に戻り、二又交差点の西のこぶや亭で昼食をいただいたあと、
南西5キロほどの京都府立大学の精華キャンパスの公園を訪ねました。

 ここは、2009年までは、京都府のフラワーパーク「花空間けいはんな」
でしたが、今は、府立大学の付属公園となっています。
我々が着いたときは、係員数人のほかは誰も園内にいませんでした。

 広大な園内には、チューリップや芍薬などの花壇のほか、
しだれ桜、桃、桜、ハナミズキ、などは花がありましたが、
藤棚はまだ蕾で、楠の木などがポツンポツンと立つ、やや閑散とした
感じでした。温室などの建物も今は入室できません。
奥の林から鶯の声がときおり聞こえ、四阿(あずまや)のそばの池に
真鴨が一羽いるだけでした。
予算の問題でしょうが、花壇の手入れもあまりされていないようです。

 しばらくして、車いすに奥様を載せて老夫婦が入園し、
園内をゆっくり散歩しはじめました。

       藤棚の空まだ見せて蕾揺る     常朝

       チューリップ撒水ホースのたうたせ 常朝

              (京都府大公園の花時計)
              (しだれ桜)
              (桃の花)
              (公園の庭園)

 我々は園内を散策後、奈良の自宅へ戻り小句会後解散しました。

そよ風の吹く洛南のお寺や神社、菜の花畑などをのんびりと楽しんだ1日でした。

2014年4月7日月曜日

189.奈良・馬見丘陵公園から広瀬大社

「アカシア紀行・俳句」2014年4月6日(日)     前へ   次へ 

 夜の雨が残り、春北風の吹く寒い日曜日、いつものメンバー7人で、
4月の花々を見ようと、広陵町の馬見丘陵公園から広瀬大社を訪ねました。

 9時前奈良を出て、天理から25号線を西へ、法隆寺東交差点を南下して、
馬見丘陵公園の北駐車場に着いた10時前は、雨が止んでいましたが、
天候が不安定で、しばらくは降ったり止んだりでした。

 公園の北エリアはチューリップの花祭で、広大な丘に色とりどりの
チューリップの花壇が美しく配置され、ふもとからはまるで花の虹の
ように見えました。

 花壇に一部は小学校の学童が球根を植えたそうです。
チューリップ花壇には、種が飛んできたのでしょう、ナズナや菜の花が
紛れ込んで咲いていました。

 花見茶屋「Cafe' +f」のそばのテントでは、広陵町、葛城市、香芝市、御所市、
大和高田市などの特産品売店があり、葛城店で小麦餅、大和高田店であんぱん
などを買いました。

 その後、トンネルを通って、中央エリアに移動しましたが、
ハナミズキなどはまだ早いので、満開の桜や、土筆を見ただけで、
駐車場に戻り、車を前池の北側に移動、池の鴨や桜を見ながら、
天神社、宇賀神社などを参拝、散策しました。
土手の寄せ仏のそばには、ワラビが伸びていましたが、芦の角はまだでした。

       チューリップ花の虹なす園の丘   常朝

       チューリップ花壇に紛れなずな咲く 常朝

              (馬見丘陵公園プレート:クリックで拡大:以後同じ)
              (案内図)
              (花の広場)
              (桜とチューリップ)
              (葛城市などの売店)
              (前池)
              (天神社)


 法隆寺東の「さと」で昼食をいただいたあと、広陵町の広瀬大社を
訪ねました。

 広瀬大社は、2月の砂かけ祭で有名な神社で、廣瀬大忌神 (ひろせおおいみの
かみ)、櫛玉命 (くしたまのみこと)などを祀る旧官幣大社です。

 境内に入ると、ちょうど周囲の桜が春北風に散って、花吹雪となりました。
境内真ん中には沢山の菖蒲の苗鉢がシートで作られた浅いプールに、
ぎっしりと並べられていました。

 真中の大きな橘は実が沢山付いており、右手の神馬堂には、神馬像が置かれ、
砂かけ祭の砂が、背中や腹に付いていました。

左手の池の奥の桜の木の下では、2、3組の花見客がバーベキューや
ピクニックを楽しんでいました。時々子供達が飛ばすシャボン玉が
池の上まで飛んできました。

 その後、左手の春泥の道を石の太鼓橋まで移動して、
大和の春の景色を眺めました。


       花吹雪斎庭にありて昂ぶれり  常朝

       春祭の砂背に残し神馬像    常朝

              (広瀬大社:クリックで拡大:以後同じ)
           
              (説明板)
              (たちばなの木)
              (水足神社)
              (花びらの池)
              (太鼓橋)


 その後、斑鳩町三井のCafe Oneで小句会後解散しました。
その頃は、青空が見えるほど天気は回復していました。
上空に寒気があるためか、やや風と雨模様でしたが、
チューリップの花園と満開の桜、花吹雪など、4月らしい花づくしの1日でした。

2014年4月1日火曜日

188.奈良・百済寺から河俣神社

「アカシア紀行・俳句」2014年3月30日(日)     前へ   次へ

 歌にあるフランシーヌの場合と同じ3月30日の日曜日は、朝からはげしい雨
でしたが、いつものメンバー7人で、花見を兼ねて奈良・広陵町の百済寺から
橿原市の河俣神社を訪ねました。
元の予定は馬見丘陵公園でしたが、雨が激しかったので、公園に集合後
方向を変えました。

 百済寺は広陵町役場の東1キロほどにある、真言宗の古い寺で三重塔と
小さな本堂があります。奈良時代の官寺であった百済大寺の故地との
言い伝えらしいですが、最近の説では、官寺でなく地元の寺であったようです。

 しかし鎌倉時代の三重塔の周囲にけやきの大樹などと共に、
8分咲きくらいの桜が雨に打たれて、風情がありました。

 本堂は小さく、十一面観音が祀られているようですが、無住寺で、
同じ境内の春日若宮神社の神主が管理されているようです。

 お寺に着いたときすでに雨が激しかったので、
神社の拝殿の軒に雨宿りして塔やお堂を拝見し、桜を見上げました。

 ときおり強い風もあり、まさしく春の嵐でした。
嵐の中での花見は初めてです。
絵馬堂もあり、鉄線の鍵を開けて中に入ると、尉姥(じょうとんば)や、
宇治川先陣の絵などが沢山掛けられ、静御前の絵もありました。

       三重の塔を雨打つ春嵐      常朝

       絵馬堂に静舞ふ絵も花の寺  常朝

              (百済寺三重塔:クリックで拡大:以後同じ)
             (百済寺本堂)
              (本堂の雨と桜)
              (百済寺公園)



 雨が止みそうもないので、数キロ南の広陵町大塚交差点の北の今日亭で
少し早い昼食をいただき、橿原市雲梯町の河俣神社を訪ねました。
河俣神社は、三輪の大国主命の御子である事代主命(ことしろぬしのみこと)を
祀る神社で、曽我川の桜並木のそばにあります。
ここは、いずれも大国主の御子を祀る御所市の高鴨神社、飛鳥の加夜奈留美神社
とともに、古代の大和を守ったそうです。

 雨も小止みになってきた境内は割合広くて細長く、樫やけやきのような大樹が
沢山あります。
参道脇に、万葉歌碑があり、説明板もありました。

 思はぬを思ふといはば 眞鳥住む卯名手(うなて)の社(もり)の
  神し知らさむ。       万葉集・作者不詳

 (あなたを想ってもいないのに、想っていると言っても、鷺の住む、
  雲梯の杜の神には、わかってしまうだろうなあ)

 鷺はいませんでしたが、拝殿の手前左には、木の柵で囲まれた榊がありました。
境内の東側は曽我川の舗装された土手道で、桜が雨に打たれながら
見事に咲いていました。土手にはニラの花、水仙、仏の座などが
雨に咲いています。
川は雨の増水で、土色に濁り、ときどき花びらが流れてきました。
 

       並木の川濁して止みし花の雨    常朝

       濡れそぼつフランシーヌの日の桜  常朝

              (河俣神社)

              (河俣神社拝殿)
              (拝殿より本殿を望む)
              (参道)
              (万葉歌碑)
              (歌碑の説明板)
              (曽我川桜並木)
              (土手のニラの花)


 その後雨の殆ど止んだ頃、橿原観光ホテルでケーキなどをいただき、
今回は句会なし解散しました。

 春の嵐の雨風に打たれる桜や三重塔、濁流の上の桜並木など、
めったに経験できない嵐の花見の1日でした。