2008年2月5日火曜日

51.奈良・正暦寺から弘仁寺

「アカシア紀行・俳句」2008年1月8日(火)


 正月、妻、義兄姉らと奈良・新薬師寺の初薬師に行ったあと、
正暦寺を訪ねました。
正暦寺は奈良市の南の菩提山町にある紅葉で有名な寺です。
平安時代正暦3年(992)に建立されたのでこの名になったのでしょう。
ここは室町時代清酒発祥の寺でしたが、最近500年ぶりに寺山で
こうじ菌が見つけられ、昔の醸造法がこの寺で復活しました。
我々はまず菩提山川の東側の福寿院(客殿)に入り、
大原住職のご案内で、孔雀明王や襖絵、お庭を拝見したあと
酒造に関連してこうじ菌発見の話などをお聞きしました。
山中で木の葉などから菌を採取したそうです。
今は、600リットルくらいの酒をお寺で醸造し、協力の11社の
酒造会社に分けて清酒にしてもらっているそうです。
福寿院から谷道を登り本堂にいくと、まだ戸が閉められていましたが、
我々の声で、尼僧が戸を開けて下さり、本堂に案内してくれました。
本堂には、薬師如来や不動明王が安置されており、尼僧から境内に
入ってくる猪対策の話などをお聞きしました。
そういえば本堂境内は電柵(電線の柵)が張り巡らされていました。
谷を下りる途中酒造用の大きな酒樽などを拝見して寺を辞しました。

 そのあと近くの虚空蔵山にある弘仁寺を訪ねました。
弘仁寺は、弘仁5年(814)、空海が創建したと伝えられる真言宗の寺で、
十三詣り(元服の祝)で知られています。
正月の寒い日なので参拝者はほかには2、3人しかおらず、静かな雰囲気で
鳥の声だけが聞こえました。
本堂には虚空蔵菩薩が安置され、本堂右には明星堂があります。
本堂の軒には、算額が2つ掛けられていました。
算額は江戸時代和算で何かの算術の問題が解けたとき、これを祝って
寺社に奉納した額で、写真は石田算楽軒の算額です。
日差を受けた堂の縁側が映って内容は読めませんでした。
読めたとしても理解できないでしょうが。
帰り道、門の外の道には白い枇杷の花が咲いていました。



        酒発祥の寺の谷路の叔気かな    常朝

        算額に映る堂縁日脚伸ぶ       常朝

        虚空蔵山辞するとき見し枇杷の花   常朝

       
       (正暦寺の本堂)

       (弘仁寺の算額) 

 

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