2015年8月25日火曜日

219. 奈良・元興寺地蔵盆

「アカシア紀行・俳句」2015年8月24日(月)    前へ   次へ

 台風15号が沖縄にせまりながらも、近畿地方は晴れた8月処暑の頃、
いつものメンバー5人で、元興寺地蔵盆を訪ねました。

 元興寺は、奈良時代飛鳥から奈良の都へ移転され今は奈良町にある
世界遺産の古寺です。
以前は東大寺などに並ぶ大寺で今の奈良町全体が境内だったようですが、
平安時代以降衰退、火災などで五重塔などもなくなり、お堂の一つであった
極楽坊が今の寺となったようです。
本堂の屋根瓦の一部は飛鳥時代の古瓦で、丸瓦は行基葺きと言われる
重ね方だそうです。

 我々は2時過ぎ若草パーキングに駐車して、境内に入りました。
すでに10ほどの屋台がでて、外国の料理なども売りだされていました。

 境内の五輪の塔や石仏の庭(浮図田:ふとでん)では、若い男女が
灯明皿を周囲に並べて油を注ぎ、灯心を置いていました。
また本堂右のテントでは来年用の灯明皿造りをしていました。

         (元興寺山門:クリックで拡大:以後同じ)
         (地蔵盆売店)  
         (灯明皿造り)       
         (灯明皿の準備)

 まず本堂に上がり仏壇に安置された大きな木彫の地蔵菩薩を参拝したあと、
周囲に飾られている絵灯籠を拝見しました。
奈良の寺院の管長や、画家、書家、元千代の富士、川瀬直美映画監督などの
寄進された絵灯篭が約50~60個、本堂の3面の目の高さに掛けられています。

 3面の障子が開けられているので、時々涼しい風が本堂を通り抜けます。
大きな仏壇の裏側には、カラフルな智光曼荼羅が掛けられ、周囲には、
盆景の鉢などが、お供えとして置かれていました。

 堂縁では子供たちが5、6人、「じゃんけん」でもらったという恐竜や、
電車の模型を並べて遊んでいました。
その後4時前まで各自が境内を散策して、五輪の塔や石仏の庭(浮図田:
ふとでん)などを拝見したあと、屋台の料理や飲み物を買って本堂奥の
蓮鉢のある休憩所で、簡単な夕食をいただきました。

 4時過ぎ係の人がきて、台風が近づいているのでテントを撤去したいと
いうので、我々は食事もそこそこに、極楽坊と禅院の間の軒下に
移動しました。
境内の背の高い百日紅は美しい色を空に浮かせ、本堂周囲の萩は殆どが
蕾で、ちらほら花が見えました。

       堂縁に蕾触れさせ萩の風     常朝

       堂縁に恐竜置く子地蔵盆     常朝

         (元興寺本堂-極楽坊)
         (極楽坊説明板)


 4時半頃から若い男女が手にライターを持って、五輪の塔や石仏の周囲の
灯明皿と蝋燭に順次火を灯して行きました。
何故か石仏の奥の鳳凰の像の灯明皿を最初に灯しました。

 5時頃から本堂で10人位の僧侶による法要が始まり、
5時半頃から浮図田(ふとでん)の五輪の塔の前で、法要後、僧侶が並んで
石仏の間の通路を読経しながら歩きました。

 6時頃から、禅院で、尺八や琴の演奏が奉納され、禅院と浮図田の間の
芝生や庭で参拝者100人位が演奏を聞きました。
尺八は11人の演奏者、琴は10人位の女性達で、
浴衣姿の指揮者が両手を波のように振って邦楽式?の指揮をしていました。
一番幼い娘は琴の演奏の合間に、聴衆に手を振っていました。
我々は女性と幼い娘達による童歌の演奏の途中で6時半頃お寺を辞して、
旧ドリームランド前のCocosでかき氷をいただき小句会後解散しました。

       浮図田の砂利に遊ぶ子地蔵盆    常朝
       琴の娘の間に手を振る地蔵盆    常朝

         (本堂と禅院)
         (浮図田の五輪の塔)          
         (浮図田の石仏)
         (浮図田の法要)
         (禅院での尺八曲奉納)
         (禅院での琴:つむぎ歌奉納)
         (禅院での琴:童歌奉納)

 日差しは暑いながら、秋の気配のする古寺での地蔵盆を味わうことが
できた一日でした。

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