2015年1月11日日曜日

204.奈良・正暦寺清酒祭から春日十日戎

「アカシア紀行・俳句」2015年1月10日(土)    前へ   次へ

 正月の十日戎の日、いつものメンバー6人で、
奈良・正暦寺の清酒祭から春日大社摂社の十日戎を訪ねました。

 9時すぎ、天理インターチェンジの入口のセブン-イレブンで集合し、
まず菩提仙川上流の正暦寺を訪ねました。

 9時半頃着くと、すでに寺の駐車場にはテントが張られ、
すでに清酒祭が始まっていました。

 今日は酒の仕込みと蔵元への引き渡しを行う清酒祭です。
30人位の人が集まっており、据え付けられた大きな甑(こしき:蒸し器)
からは、米を蒸す湯気が高々と寺山に上がり、
地面には葦簀(よしぅ)が6枚敷かれています。

 前回のアカシア紀行にも記入しましたが、正暦寺は清酒発祥の寺とされ、
寺領で採取された麹(こうじ:菩提もと)による清酒の酒母を
奈良の蔵元9社に配布しているようです。

 大原住職が、マイクで酒の仕込みの手順を説明されました。
酒は通常寒い時期に仕込みますが、ここは乳酸の殺菌力を利用して、
夏でも作れるようになったとのこと。

 そのうち6~7本の長い杵で、見学者も参加して餅搗きが始まり、
皆に、きな粉と餡かけの餅をふるまってくれました。
さらに、具の沢山入った粕汁もふるまわれました。

 蒸し上がった米が、葦簀の上に広げられ、数人の男女が、手袋の手で、
こまかくならしました。
10度以下に温度を下げて、別の大きな釜に、麹と乳酸の入った
水と共に入れ、発酵させ、酒母を作るとのこと。

 我々は次の予定があったので、釜に入れるのを見ないでお寺を辞しました。

       寺山に湯気高高と寒造り     常朝

       具の多き粕汁もあり清酒祭    常朝

              (正暦寺清酒祭テント:クリックで拡大:以後同じ)
              (甑(こしき))
              (飾り樽)
              (もちつき)
              (蒸米さまし)

 奈良市の東大寺南大門手前の夢広場のTEN-TEN-CAFEで昼食をいただき、
春日大社の佐良気神社(恵比寿神社)へ参道を歩きました。
参道には山上憶良の秋の七草の万葉歌碑があります。

  萩の花尾花葛花なでしこの花
   をみなへし藤袴また朝顔(桔梗)の花  山上憶良

              (山上憶良の歌碑)

参道では雌鹿がせんべいを欲しがっていたので、メンバーの女性は
売店で鹿せんべいを買いましたが、お金を払う前から、
鹿に背中などをつつかれていました。
勿論せんべいは、あっという間になくなりました。

 また今年来年は春日大社の20年毎の60回目の式年造替なので、
参道には桧皮寄進(1000円)の垂れ幕もありました。

 万葉植物園の入口では、神社の人々が笹を参拝者に渡しています。
笹は無料ですが、ぶら下げる吉兆(招福の飾り物)は1個300円以上と、
商魂たくましいようです。

 春日山中の佐良気神社に着くと、本殿の前の吉兆売り場には、
5~6人の福娘が、美しい巫女姿で烏帽子を被って、
参拝者に縁起物などを売っています。

 笹に吉兆を飾り付けたあと、参拝者に対して一人ひとり鈴を振ります。
吉兆をつけてもらったあと、春日若宮入口で甘酒をいただき、
春日大社を辞しました。

       吉兆買ふ春日の森によき日差    常朝

       福娘は大社の巫女よ良き鈴音    常朝

              (佐良気神社)
              (佐良気神社説明板)
              (吉兆売り場)


 その後、再び夢広場に戻り天平庵で小句会をしました。
三連休の始めの土曜日のためか、店がかなり混んでいたので、
披講はやめて早々に退散・解散しました。
一日中曇りの予報でしたが、午後は日差が戻り少し暖かくなり、
穏やかな恵比寿の日でした。