2012年10月6日土曜日

159. 都祁の金龍寺、青龍寺、葛神社から山口神社


「アカシア紀行・俳句」2012年10月5日(金)               次へ

  秋のさわやかな快晴の日、いつものメンバー7人で、奈良・都祁の金龍寺
などを訪ねました。

  金龍寺は名阪国道・針インターチェンジの北約2キロほどの、
山腹にある華厳宗(東大寺末)のお寺です。
我々は9時過ぎ針インターチェンジの針テラスで集合し、車で訪ねました。

  369号線から川沿いの路を東へ100メートル程で左の急坂をしばらく登ると
お寺の北東側の駐車場に着きました。

  本堂を参拝後境内を散策していると、
住職が出てこられ、本堂を開けて、中へ案内され、
お寺の由来などを聞かせていただきました。
室町時代武将で画家であった山田道安が建立した寺とのことです。

  本堂にあった聖観音像は飛鳥時代のもので、国宝とされ国立博物館に
保管されていますが、寺が飛鳥時代でないので今は重要文化財とのこと。
花好きの住職で、境内に育てた木や草の話を、30分以上されました。

  その後庭へ降りて、木や草の名や育て方などをお聞きしました。

  入ったすぐの不動堂の右にある隠沼のような池に山からの清水が流れ、
小さな水馬が泳いで、周囲に柴栗が落ちていました。
水芭蕉(葉)、ギンセンカ(コウホネの仲間)が水中にあり、
庭のカンアオイの上に金木犀が咲き、山椒が赤い実を沢山つけていました。

  庭には、大山蓮華の赤い実、ホトトギス(白の原種)、サクラソウ、
葉だけですがヤブレガサ、フタリシズカ、シチダンカ、スズラン、クロエビネ、
ダイモンジソウ、シラユキゲシ、クマガイソウ、キチジョウソウ、
クリンソウ、ギンセンカ、テンナンショウ(浦島草)、セッコクなどが、
あり、東の崖付近には秋明菊、オトコエシ、アキノキリンソウ、
釣鐘人参、野菊が花をつけていました。

  その後不動堂の右奥の坂を登り、杉の大樹の根元に挟まれた
磨崖仏を拝見しました。山田道安が彫った線刻仏らしいです。

        隠沼の木陰に秋の水馬       常朝

        育て方住職に聞く男郎花      常朝

              (金龍寺:クリックで拡大:以下同じ)
              (金龍寺本堂内:正面写真が聖観音)
              (大山蓮華の実)

  針テラスに戻り、メルカートロッソで昼食後、都祁の南の藺生(いお)
地区の青龍寺を訪ねました。
安楽寺の南のカーブを西へ200メートルで南下してすぐです。
青龍寺は、藺生城主藤井氏の菩提寺であったという真言宗の寺ですが、
今は無住で藁葺き屋根の本堂と集会所があるだけです。

  本堂の裏は墓地で穴惑いの黒蛇がするりと消えました。
狭い道からの参道左に石仏のお堂と庚申堂があり、庚申堂には
石の青面金剛像、近くには寄せ仏の小山、宝篋印塔があります。
短い参道脇に柿の木がまだ青い実をつけていました。

        藁葺の本堂下へ穴惑        常朝

        穴惑思いのほかの早さかな     常朝

              (青龍寺)
              (青龍寺裏側より)
              (青龍寺石仏)

  お寺の前の道を南へ200メートル程進むと池があり、その南側の
葛神社を訪ねました。

  葛神社は、室町時代に領主小田氏が建てたとされる出雲建雄神、
菅原道真公、豊玉姫命を祀る神社です。
説明板によると、昔は九頭(くず)大明神と呼ばれ、
1524年(大永4年)社殿が建てられ、以前の形式の祭礼が行われたとのこと。

  境内入口の大樫の木から結界の勧請縄が掛けられ、
結界をこえると、ノシメトンボが手の甲に止まりにきました。
砂利を引いた境内では別のメンバーの人の指先に蜻蛉が2度も止まりました。

  境内右手には小さな池があり、松藻虫と水馬が数匹泳いでいました。
周囲の刈田には電柵が張られ、赤とんぼ、ノシメトンボ、塩辛とんぼが
飛び、畦には蓼の花、ミゾソバが咲いていました。
右手の山に少し入ると、氷室の跡として大きな窪みがあり、
落葉が溜まっていました。
また神社左手の大池の土手には露草が青く咲いていました。

        勧請縄半分日差す秋の杜      常朝

        露草に水音絶えぬ神の池      常朝

              (葛神社の池)
               (葛神社説明板)
              (葛神社)
              (氷室説明板    搖丁:臨時職員)
              (ノシメトンボ)

  その後、東500メートル程の、都祁山口神社を訪ねました。
奈良時代から都祁の山霊、大山祇神と大国主命を祀る、都祁氏の氏神です。

  説明板によると、ここにあった水分神社が平安時代に北の今の
都祁水分神社に移されたそうです。

  石段を登って参道を進むと長屋門のような門があり、内側の壁に
龍の絵が掛けられ、境内左手の青い網囲いのある池には緋鯉が
いました。右手にも池があり、そこから神社の背後の山へ走り根の道を
200メートルほど登ると、石の鳥井の奥に巾3メートル以上ある巨石
(御社尾の磐座)があります。本殿の前には朱塗りの格子の囲いが
あり、境内右に社務所があります。
時々鵯の声があるほかは静かで、池面に秋の日が映ってまぶしく
池の濁りを隠していました。

        走り根の奥に霊石鵯の声      常朝

        神の池濁り隠して秋日映ゆ     常朝

              (都祁山口神社)
                (都祁山口神社説明板)
              (都祁山口神社の池)
              (都祁山口神社御社尾の磐座)

  その後針テラスのメルカートロッソで小句会後5時ころ解散しました。
静かでのんびりとした都祁の秋を楽しめたさわやかな一日でした。

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