2016年2月13日土曜日

230. 京都・高台寺の涅槃図

「アカシア紀行・俳句」2016年2月12日(金)    前へ    次へ

  立春をすぎて少し暖かくなった日、 いつものメンバー6人で京都・東山の高台寺をを訪ねました。
主な目的は涅槃図です。

 高台寺は豊臣秀吉の妻「ねね殿」(北政所:出家後は高台院)が秀吉の菩提を弔うため慶長11年
(1606)に建てた寺ですが、家康が堀直政に普請を命じたそうで、直政像が開山堂に祀られています。
また「ねね殿」はその前慶長4年から、京都御苑の南にあった高台院殿に住まいしたそうです。

 我々が高台寺駐車場に着いた11時前は車も少なかったですが帰る頃はほぼ一杯になっていました。
東山の大きな霊山観音像を見上げながら、北の拝観受付の方へ歩くと、湖月茶屋の脇の大きな梅の木は
早くも2分咲き位の花をつけていました。 右手には道真公を祀った天満宮があります。

         (高台寺:クリックで拡大:以下同じ)
          (高台寺の梅)
         (この裏側は墓地用の馬穴置き場)

 拝観料600円を納めて、苔の庭を右へ曲がり、観月台と観月橋のある池を左に眺めました。
池のほとりには古い梅の薄い苔を載せた太い幹(鉄幹)が切られて、脇から若い枝が蕾を
つけていました。

 本堂である方丈に靴を袋に入れて上がりました。
廊下からは見事な白砂と石の庭が見えます。
部屋の左手に大きな涅槃図が掛けてあり、女性が10人以上の人々の前で絵解きをしていました。

 説明が一通り終わり人々が離れたあと、我々も図の近くに進み、改めて説明を聞きました。
他の涅槃図と違い、図の周囲に八相図という50センチ四方位の絵が8面あり、釈迦の誕生(前)から
修行、悟り、涅槃までの生涯が描かれています。
左の修行の絵には、少女スジャータが痩せた釈迦にミルクを与えている図もかろうじて見えます。

 涅槃図の左の菩提樹には母・摩耶夫人が与えたとぃう薬袋が掛けられ、
横たわる釈迦の前では、菩薩や弟子、動物たちがそれぞれなげき悲しんでいる様子が
描かれています。

 女性は、図には十二支の動物たちが描かれているが、十二支に猫が入っていないので、
猫が描かれていない。その理由は、釈迦のために薬を持ってくるように弟子のアーナンダ
からいわれて運んできたネズミを猫が邪魔したためだ、と説明してくれました。
虎も涙を見せずに大きな目でこちらを見ていました。

       鉄幹に薄き苔のせ梅ふふむ     常朝

       涅槃図の虎は涙をこらへゐし    常朝

       涅槃図の猫探すほど暇あらず   常朝

        (方丈の庭)       
          (開山堂と観月橋)
        (庭園説明図)
        (臥龍池と臥龍廊)

 その後、方丈を出ると、東側の臥龍池の岸で青鷺と鴨が一羽ずつ池を見ていました。
この鷺は去年夏同窓生と拝観のとき、観月橋の屋根に止まっていた青鷺でしょうか。
まず2つの池に挟まれた開山堂をお参りしました。
開山堂には絵天井があり、中央に三江和尚像、左に堀直政像、右に兄夫婦、木下家定と妻雲照院
の像が祀られています。

 臥龍池を巡る道を登るとねね殿の霊を祀る霊屋(おたまや)があります。
坂の土手には、早くも落椿がありました。

 霊屋の内陣には左手にねね殿の像、右手に秀吉の像があり、中央は菩薩像の厨子を
須弥壇に祀っています。
いずれも美しい金泥を配した蒔絵で飾られており、この高山寺蒔絵は有名だそうです。
さらに登って傘亭と時雨亭を拝見しました。

 傘亭と時雨亭は説明の女性によると、いずれも伏見城から移転した茶室とのこと。
正式な茶室のような作りではなく、秀吉とねね殿のごく身内の茶室といった感じですが、
傘亭は伏見城の池の畔にあったので、小舟が茶室にそのまま入れるようにまん中が土間で
入口が大きくあいています。

 時雨亭は伏見城の高台にあって見晴らしを楽しんだのでしょう、茶室は二階になっています。
孟宗竹の竹藪の道を降りて、駐車場に戻り、三条通り東の蹴上のウエスチン都ホテル2階で
遅い昼食をいただき、奈良に戻りました。

       ねね殿の霊屋(たまや)高きに落椿  常朝

       船入りし茶室は広し春日差       常朝

        (傘亭への道)
               
         (船が入った茶室・傘亭)
        (時雨亭)

 途中青谷梅林を見ようと城陽南中学校そばまで行きましたが、4年前訪ねたはずの梅林の入口
がわからず、時間も遅かったのであきらめて、旧ドリームランド前のココスで小句会を楽しんだあと解散しました。
2月にしては暖かい早春の京都・東山を楽しんだ一日でした。

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