2017年4月9日日曜日

250. 奈良・法隆寺の仏生会

「アカシア紀行・俳句」2017年4月8日(土)   前へ  次へ

  4月の花祭の日:お釈迦様のお誕生日をお祝いする仏生会の参加するために、
いつものメンバー3人で奈良の法隆寺を訪ねました。
仏生会は仏教の行事なので、いわゆるお花祭りとして各地のお寺で行われ、
私の子供の頃は薬缶を持って田舎の近くの寺の花祭に行き、沢山の花で屋根を飾られた
花御堂の中の誕生仏に甘茶をかけたあと、薬缶に甘茶をいただいて帰りました。
甘いものが少なかったので嬉しかったです。

 9時前、JR法隆寺駅で集合し、車で法隆寺の西側の駐車場に駐車し、
境内をゆっくり歩いて、五重塔手前の改修工事中の中門を過ぎて、聖徳太子を祀る聖霊院、
旧の宝蔵院であった綱封蔵から東側の食堂(じきどう)手前の細殿前に行きました。
右手の鏡池のほとりには、子規の句碑「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」があります。
境内の桜はほぼ満開で、これほど桜があったのかと驚きました。
昨夜の雨粒が残っている花びらは特にきれいでした。
また聖霊院の檜皮葺もまだ濡れており、それらが満開の桜にいろどられていました。

       聖霊院の桧皮濡れゐて初桜      常朝

       花びらにつく雨粒のなほ白し   常朝

        (法隆寺境内配置図:クリックで拡大、以下同じ)
    (改修工事中の中門)
    (綱封蔵)
    (鏡池)
    (子規句碑:柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺)

 まだ早かったので手前の垣は閉じられていましたが、9時半頃垣が開けられ、
細殿を通って食堂に入り、右手に30脚ほど準備された椅子に座りました。

 中央は祭壇の上に高さ2メートルほどの厨子に入られた釈迦像があり、手前の段に
和菓子、野菜、果物のお供えの脚付き皿が置かれ、下の段には
法隆寺の丸い鳳凰紋のあるテーブルクロスが掛けられ、菊、百合、金盞花、ストックなど
色々な花がぎっしり詰められた4つの大きな鉢に囲まれた灌仏皿の中に高さ30センチ位の
誕生仏が左手を高く上げて立っています。
その前には(多分)甘茶と聖水が入れらた大きな2つの鉢があります。

 10時前11人の僧と1人の尼僧が食堂正面の上げられた蔀戸(しとみど)から入り、
左手に着席され、中央の祭壇にはその内の1人の僧侶が座り、法要が始まりました。
その頃にはすでに、椅子席は満席で、後ろに数十人の参列者が立っていました。

 お経はまるで合唱のような重低音で意味などわかりませんが、厳かな感じでした。
お経の途中で何度かそれぞれの僧が散華(絵札を地面に撒く)をしました。
そのうち、僧が一人ずつ誕生仏の前に進み、甘茶を3回、聖水を1回ずつ掛けたのち、
般若心経をゆっくり唱え、法要が終わりました。

 僧侶が退出後、係の方から、参列者それぞれ、3枚ずつ散華をいただき、
案内にしたがって参列者が一人ずつ、誕生仏に甘茶と聖水を掛けてお祝いをしました。

       食堂に散華の音や仏生会       常朝

       お祝ひに洋菓子もがも仏生会   常朝

        (食堂手前の細殿)       
    (誕生仏:斑鳩町観光協会ホームページより)
    (布穀薗(ふこくえん)の旧男爵邸)

 その後、夢殿の南150メートルほどのレストラン布穀薗(ふこくえん)で竜田揚げランチなどの
昼食をいただき、12時半ころ法隆寺駅で解散しました。
ここは旧北畠男爵の屋敷で、男爵邸と呼ばれていたそうで、庭に満開の枝垂れ桜と
瓦葺きのアーチ型の門のある古い屋敷もあり、レストランは長屋門を改装したそうです。

 雨上がりで快晴ではなかったですが、暑くも寒くもなく、桜満開の法隆寺の仏生会は
静かで厳かで、他の東大寺や興福寺などの観光客の多い賑やかなお祭り気分の
花祭とは違った、落ち着いた味わいがありました。

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